2024年9月12日発売「ヤングジャンプNo.41」で『【推しの子】』本編の最新160話「eye」が掲載・更新されています。
前回感想記事はこちら。
また、150話を受けて重曹とアクアの関係性の変遷の整理や今後の展開の考察を少しだけした記事を作成しています。こちらも気になる方は是非。
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私は重曹推しです。
記事の内容やそれに含まれる感想もだいぶ重曹寄りになることはご容赦ください。
それについて、随分と前ですが、『【推しの子】』の今後の展開について割と本気で考察した記事を書いていますので、今後の展開まで予想したい方は以下の記事をチェックしてください。この記事で書いてある考察などを前提にこの記事のように各週の感想記事も作成しています。
※約3年ほど前の記事になります。
なので、以下に含まれる感想の内容にも『【推しの子】』の恋愛要素(特にアクかな)に焦点を当てた内容が多くなります。上記内容が苦手な人、宗派が合わない人はブラウザバックしていただければ幸いです。
最新15巻が2024年7月に発売しています。
表紙はあかねと重曹。
160話「eye」感想と考察
カミキとアクアの対比
アイの死。
その事実に対してカミキは何もしていないと主張する。ニノとリョースケに対して、アイのことを語っただけだと言う。しかし、その裏にカミキの意図が隠れていることは間違いない。立派な殺人教唆である。
その証拠として、アクアは「実の娘を守らなかったこと」を挙げる。ニノの精神状況を理解していながら、アクアとは異なり傍観していた。その事実は直接的な関与の有無に関わらず、殺人を肯定することに他ならない。
Ⓒ 集英社 2024
赤坂アカ/横槍メンゴ『【推しの子】』160話 より
そして、このやり口はあまりにもアクアと似ているのである。カミキは殺人のために人に対して嘘をつき、直接的には関わらずに事態を誘導する。一方のアクアは、重曹を助ける為、あかねを助ける為、誰かを助ける為に嘘をついたり陰で泥を被りながら事態を誘導する姿が描かれてきている。
これは明らかな対比である。
実の親子である通り、アクアとカミキはそのやり口が同じである。しかし、カミキはその能力を人を害するために使い、アクアは誰かを助けるために使う。
eyeのダブルミーニング
前回のサブタイトル「共振」について「狂信」とのダブルミーニングであることは既に前回感想記事で解説した。そして、赤坂アカ先生らしいダブルミーニングのオンパレードである。
今回の「eye」に関しても「アイ」、「愛」とのトリプルミーニングであることは分かりやすいだろう。そもそもの発端がアイとの関わりであることは然り。そして、本作では「前向き」な様子や「後ろ向き」な様子に関してアイ、アクア、ルビー、カミキには目に星が描かれている。当然、この「目(eye)」が今回のサブタイトル。そして、ルビーのアイドルとして誰かの背中を押す姿を「愛を歌う」と評している。
Ⓒ 集英社 2024
赤坂アカ/横槍メンゴ『【推しの子】』160話 より
ルビーは一時期復讐堕ちし、目の輝きが黒くなっていた。一方で、アクアの前世開示や重曹との映画撮影でのやり取りを踏まえて、目に輝きが戻っている。今のルビーはその姿で、歌で誰かを救う「前向き」な意思を持っている。
一方で、カミキやアクアの目に宿る黒い輝きは、過去に縛られ復讐に囚われる「後ろ向き」な意思を示しているに違いない。一つ注意したいのは、黒い輝きが必ずしも殺人に繋がっている訳ではないということだ。実際、ルビーやアクアが過去に黒い輝きを放っていても、それは復讐のために動いていただけで殺人は犯していない。
それを踏まえた上で結論付けたいのは、「殺人」は黒い光の衝動とかそんなものではなく、間違いなくカミキの性質や意志によるものであるということだ。
アクアはカミキを刺すか
さて、前回感想記事及び上述した内容を踏まえた上で、最新話最後のシーンについて言及したい。アクアはルビーを守るために、とカミキに対してナイフを向けた。ここで論ずるべき問いは、「アクアはカミキを刺すか」である。
結論から言う。
刺さないと思う。
Ⓒ 集英社 2024
赤坂アカ/横槍メンゴ『【推しの子】』160話 より
仮にアクアに刺す意思があったと仮定する。今までのアイの殺されたシーン然り、前回のあかねが刺された(フリをした)シーン然り、ナイフは突然刺されるから致命傷になる。相手の前で堂々とナイフを見せて、今から刺します宣言をして、これでカミキが刺されたらそれはギャグ漫画である。
それを踏まえた上で、アクアにカミキを刺す意思が無いことをいくつかの要素から説明したい。
まず1つ。アクアはあかねや壱護と連携を取っている。あかねが防刃チョッキを仕込んでいた時点で、今回の作戦はアクア、あかね、壱護を含めたメンバーの合意の上での策である。当然、その作戦の中にはカミキとアクアが対峙した際の対応もあるはずなのだ。その答えが殺人であれば許されるはずがないし、疑わしいなら壱護らが止めたり、信用しなかったりするはずである。
次に2つ。これは役者パートの存在意義である。ここまでの話を振り返ると、アクアが「役者」を経験したことが意味を成していない。『2.5舞台編』でアクアはトラウマと向き合ってまで感情演技を習得した。しかし、肝心の『15年の嘘』映画撮影では、基本はプロデュース側に回り、明確に感情演技を実行していない。となれば、何のために感情演技を習得するパートが必要だったのか、という疑問が湧いてくる。その答えが、復讐の最後にカミキを出し抜く為である。アクアは嘘に慣れている。一方で、最新話でも描かれていた様にカミキも嘘に慣れている。だからこそ、ただの嘘ではない感情演技が必要なのかもしれない。
最後にサブタイトル「eye」である。何故、ここに来てサブタイトルに「目」が来るのか。その答えは明確である。前提として、本作における「目の輝き」は上述した通り「前向き」「後ろ向き」という意志の方向性を表しているとする。
アクアは復讐に囚われていた。しかし、映画撮影を終えたことで自身の未来に目を向けるようになった。その証が重曹への好意の自覚や、進路としての医大の選択である。つまり、アクアの意志は既に未来に向いていることは今までの描写で描かれている。
そして、最新話に注目したい。冒頭の方のページでカミキと対話するアクアの目の輝きは黒い。一方で、ラスト3ページのアクアの目の輝きは白いのである。つまり、ナイフを突き出している瞬間も目の輝きは白く、過去ではなく未来を向いていることが分かる。つまり、明確に計画や将来と言った前を見据えた上でナイフを突き出しているのだ。
今週の重曹ちゃん
今回に至っては1コマである。
重曹の卒業ライブのはずが、しっかり復讐パートのエンディングに向けたカミキやアクアの様子と対比させるための描写になってしまっている。頼むから後日談でしっかり重曹の話を補填してほしい。
今回の展開を受けて、アクアがカミキを刺すことで復讐を完遂させると考えるのであればアクかな展開は無いのかもしれない。ただ、私としては上段にて記載した通り、アクアが未来を見据えた上で行動していると考えている。そのため、わりとアクかな後日談はガチで期待している。
Ⓒ 集英社 2024
赤坂アカ/横槍メンゴ『【推しの子】』160話 より
次回更新は
次週は休載。
次回更新は2024年9月26日(木)の予定である。