葉のブログ

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【感想と考察】『【推しの子】』38話「箱推し」

 2021年3月25日発売の『週刊ヤングジャンプNo.17』で『【推しの子】』の最新38話「箱推し」が更新されたので感想と考察を書いていきたいと思います!

  メンゴ先生も「絶対読んでくれ」と告知しており、昨日から楽しみにしていました。そして、期待に違わず今回の『【推しの子】』は最高でした!!マジで重曹ちゃん推しも、そうでない人も、全人類読んでくれ!

 

 

 前回の感想記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 

 

38話「箱推し」感想と考察

MEMとルビーの輝き


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『【推しの子】』38話 より

 どうやらMEMのネームバリューからステージにはMEM目当てのファンが多いようで、某アイドルアニメにあったようなお客さんが全く入らないという展開にはならなかったようである。人間パフォーマンスを披露している時こそ冷静に俯瞰的に物事を見れるようになるというのは、割と良くある話である。そして、重曹ちゃんの目に映ったのは自分以外の二人の輝きなのであろう。

 客席を見回しても、自分を推す白いペンライトは無い。会場はMEMを推す黄色のペンライトが多く、ステージを見れば生粋のアイドルであるルビーが最高のパフォーマンスを魅せている。それは初見の人を虜にする、正に天才的なものであった。そして、光が輝けば、影も濃くなるものである。

 

重曹ちゃんの影

 この章に入ってから特に詳しく描かれているが重曹ちゃんは自分に自信がない。それは、誰もが注目してくれた子役時代から一転して注目されなくなったこと、お母さんが実家に帰ってしまったこと、誰も今の自分を見てくれないこと、と様々な要因が重なっているのであるが、つまるところ過去の自分に押し潰されているのである。過去の自分が大きすぎて、誰も今の自分を見てくれなくて、自分の価値が分からなくなるのである。

 MEMという今をときめく輝き。ルビーという未来で確実に成功するであろう輝き。それらに照らされて、重曹ちゃんもそのファンも過去の幻影をいつまでも追ってしまうのである。


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『【推しの子】』38話 より 

 

『誰か私を見て』 

 

 だから、この言葉は重曹ちゃんが十数年叫び続けた心の底からの想いである。過去の自分を追い越そうと努力する自分を誰か見つけて、発見してほしい。芸能界で、残り続けるのは並みの精神では成立しない。だからこそ、誰かに自分が「そこ」に居ることを認めてほしいのだ。

 そして、影の中では光はより鮮明に見えるのである。


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『【推しの子】』38話 より

 

【推しの子】

 アクアがヲタ芸で振り回すペンライトはグループ3人分それぞれのものであり、それはアクアがグループ全体を推している「箱推し」であることを示していた。しかし、赤と黄の中にポツリと光る白色の輝きは紛れもなく「重曹ちゃんの存在を認める光」なのである。

 そして、その男は子役時代も高校生になった今も変わらず自分に関わり、あまつさえアイドルに勧誘してきた男であった。アイドルに勝る容姿だと褒めてくれ、ヒヨコの仮面をつけてまで自分を助けてくれる。間違いなく現在のアクアは重曹ちゃんの存在を認めてくれる最初の人間なのだ。 

 スました顔して、余裕ぶって全員を応援しているアクアに目にモノを見せてやりたい。元々負けず嫌いな気があった重曹ちゃんの心に火が付いたのは確実であろう。それはアクアが自身の存在を認めてくれるからこその気持ちの変化なのかもしれない。


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『【推しの子】』38話 より

 

 「アンタの推しの子になってやる」という台詞。勿論アクアに向けてのものであるのだが、少しメタ的に考えることもできる。おそらく、この『【推しの子】』という作品はある一定層の「重曹ちゃん推し」が存在するだろう。私もその例外ではなく、毎週毎週最新話を読んでは重曹ちゃんの表情や言葉に悶えるである。しかし、この言葉は正に次元を超え、多くの人が重曹ちゃんを推しの子にするものになるだろう。

 そのような意味で最新話は「重曹ちゃん推しのための話」であり、「重曹ちゃん推しにするための話」であると言えるだろう。

 

今週はいつも以上に語らせてくれ

 以前から重曹ちゃんが未来の時系列で「あーくん」呼びしていることから重曹ちゃんとアクアが結ばれるエンドを声高らかに叫んでいる私であるが、今週の話を読んで無事死亡した。芸能界に残り続けていることからも重曹ちゃん自身が頑固と言うか決意が固いタイプであることは考えられるが、その想いが遂に一直線に決められたという感じであった。

 重曹ちゃんの決意のシーンには思わず鳥肌が立ったし、気が付いたらアカ先生とメンゴ先生に対して拍手をしていた。一人で。落ち込んでいる重曹ちゃんも良いけど、ひたむきに真っすぐ努力する重曹ちゃんがすこなんだ。

 ここで一つ考える。最新話ではアクアとの出会い、アクアの存在が重曹ちゃんを大きく変えたことが読み取れる。このフレーズどこかで聞いたことがないでしょうか。確かアイは劇団ララライで自身を変えることになる男性との出会いがあり、そこからアイドルとしての向き合い方などが変化したという情報が既に出ている。つまり最新話では重曹ちゃんとアイが重ねて描かれているとも考えられるのではないだろうか。これが真実ならアクアは「実の父親=アイの人生を変えた男性」を探している訳で、なんだか犯人の男性とアクアも重ねて描かれる可能性も考えられる。そうすると物語の構造が少し皮肉めいたものになりそうで、考えるほど面白くなるのだ。

 

タイトル回収について

 また以前から『【推しの子】』と【】がタイトルについていること、赤坂アカ先生がダブルミーニングが好きなことの2点からタイトル回収が様々な意味で行われることを考察してきた。勿論、普通に考えるなら「推しの子」は前世の推しであるアイの子どもとなった主人公のアクアとルビーを示すのであるが、最新話で重曹ちゃんからアクアに向けた想いを示すものであることが分かった。

 そして私が思うに『【推しの子】』というタイトルはまだまだ使われるのではないだろうか。今後も私たちが予期しない場所でポンとこの言葉が使われるのではないかと今から期待しておく。

 

今週の重曹ちゃん

  完全にヒロインであった。泣いた。報われてくれ。ドルオタに「オタ受けど真ん中」と評される重曹ちゃんもなんだかいいね。アクアを見て笑いをこらえる重曹ちゃんも、ジト目気味の重曹ちゃんも全ての表情が輝いていた!

 正に全「重曹ちゃん推し」のための最新話であったのであろう。


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『【推しの子】』38話 より