葉のブログ

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【感想と考察】『【推しの子】』50話「感情演技」【漫画】

 2021年7月15日発売の「ヤングジャンプNo.33 & 34」で『【推しの子】』の最新50話「感情演技」が掲載され、更新されています。てか、今週合併号だって買うときに気づきました。

『【推しの子】』も強制的に1週間お休みになる訳ですね。悲しい。

 前回の感想記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 ちなみに私の感想記事は、①私自身が重曹ちゃん推しであること、②この物語の結末は「映画製作」であり、各章はその映画製作に繋がること、を前提としています。その前提に関する考察記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 

 50話というキリの良い数字。その節目に相応しく、今回の展開は今後の物語の展開を考える上で重要になってきそうです。それでは、感想記事を書いていこうと思います。

 

50話「感情演技」感想と考察 

アクアの演技

 さて、クリエイター同士が意気投合した結果、役者の技量任せの鬼のような脚本が完成した。短く前回の展開をまとめるのなら、このような感じだろう。『役者の技量』という観点から漸くアクアとその対比としての姫川の存在にスポットが当たることが予想される。

 しかし結論から言って、そんな予想とは裏腹に姫川とのバチバチ対決という展開にはならなかった。あかねや姫川含む「ララライ」のメンバーや「天才子役」と評された重曹ちゃんがその台本に対して武者震いのように興奮する一方で、アクアは「台本通り」の演技しかできず、より感情を乗せた演技を求められてしまう。

 

重曹ちゃんとあかね

  このブログ記事の前提として①この物語は全体を通して「最後の作品」の製作に関わる要素になっていること、②「最後の作品」のインタビューで重曹ちゃんが「あーくん」呼びしていることからこの作品の「ヒロイン」的立場は重曹ちゃんにあること、が挙げられる。勿論、私自身この前提の基に今までの記事を書いてきたので私の過去の記事を読んだことがある方は分かるだろう。

 そして、前回の記事で「アクかな」という立場から劇の展開を予想したのだが、確かにその通り冷静に考えれば重曹ちゃんがヒロイン然とするのは劇上である必要はないのかもしれない。求められた感情演技に悩むアクアに重曹ちゃんとあかねがそれぞれの立場からアドバイスをする。

 あかねは「少しずつ慣れていけばいい」という甘い言葉を、重曹ちゃんは「見本通りに再現することしか出来ていない」と厳しい言葉を。二人の言葉を聞いた結果として、アクアはいつでも泣ける天才子役こと有馬かなに助言を求めるのである(ささやかなアクかなに感謝)。

 

感情演技

  演技に感情を乗せるコツ。それは劇場での登場人物の感情を理解した上で、それに似た感情を想起させるというものだ。キャラクターが悲しがっているなら、自身の悲しい過去を、喜んでいるなら、自身の嬉しかった過去を思い出しながら演技するということだ。


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『【推しの子】』50話 より

 

 今求められているのは「鞘姫」の目覚めに対して不安からの解放と喜びである。そのために自身の嬉しかった感情を重曹ちゃんに言われた通り頭の中に並べていく。ここで注目したいのはアクアの中に並ぶ記憶には『今日あま』での動画制作であかねを救ったこと、重曹ちゃんに「ぴえヨン」を装って重曹ちゃんに寄り添ったこと、「B小町」のライブが成功したこと。アクアでもそんな風に笑うんか、というような笑みを見せる。

 しかし、そんな感情を「ゴロー」は許さない。

 次の瞬間フラッシュバックするのはアイが殺された瞬間の記憶。それと同時にアクアは気を失ってしまうのだ。


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『【推しの子】』50話 より

 

アクアの記憶に寄り添えるのは?

 そんな衝撃の展開であったが、アクアのこの「どん底」に寄り添えるのは誰かという話である。ここはヒロイン組の活躍に期待したいだろう。確かにあかねは人の感情などを推測し、ましてや現実を言い当ててしまう才能の持ち主であるため可能性があるかもしれない。しかし私個人としては「お母さんが死んでしまったら」という言葉を投げかけ、ある意味でアクアの記憶を開けた張本人である重曹ちゃんが寄り添う展開を期待したい。勿論重曹ちゃんがアクアを追い詰めたわけではない。重曹ちゃんの言葉から嬉しい記憶を辿るもそれを自分自身が許せなかっただけである。しかし、重曹ちゃん自身がアクアに向けて厳しくアドバイスすることすら不安げであったことを考えると、今回アクアが倒れたことを重曹ちゃんが気にしない訳がないのだ。

 では、どのように寄り添う展開になるのか。アクアが自身で過去を打ち明ける展開は考えにくい。そうであるならば、あかねの推理か、ルビーからの打ち明けが考えられる。あかねが「疑似彼女」であることさながらアクアの過去やアイに執着する点から推測し、それを重曹ちゃんも聞いていて、みたいな展開か、或いは重曹ちゃんがルビーに尋ねる展開か、そこらへんが妥当であろう。

 勿論、そもそもアクアがこの過去を乗り越えなかったり、ヒロインsがここではそれほど関わってこなかったりすることも考えられる。しかし、姫川という男性ポジションでアクアより上であると描かれた役者の存在、アクア自身の演技の限界と示された今、アクア自身の演技が進化することがこの章における一つの見どころのなのではないかと私は思うのだ。

 この章でアクアが「感情演技」を手にすることが、この『【推しの子】』という物語における「最後の作品」へのアクアの演技の布石になるのではないか。

 未来軸のインタビューからして、物語における「最後の作品」は「アイの死」を何かしらの形で訴えかけるようなものである可能性があり、そのような場面においてアクアが今回想起させた自身の気を保つのさえ難しい「アイが死ぬ瞬間」の記憶が役に立つのではないだろうか。


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『【推しの子】』50話 より

 

今週の重曹ちゃん

 あかねに対して幼馴染マウントを取る重曹ちゃん。言い過ぎたかもと思いながらもアクアのことを考えて敢えて厳しい言葉をかける重曹ちゃん。アクアに助けを求められてパアァと喜ぶ重曹ちゃん。実は最新50話は重曹ちゃんの百面相ハッピーセットであった。

 マジで最高。


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『【推しの子】』50話 より