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【感想と考察】『【推しの子】』49話「リライティング」【漫画】

 2021年7月8日発売の「ヤングジャンプNo.32」で『【推しの子】』の最新49話「リライティング」が掲載され、更新されています。

 前回の感想記事にて訂正がありました。それを含めて前回の展開の確認はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 

49話「リライティング」感想と考察

アクアの目論見 

 前々から伏線が張られていたアクアのアビ子先生に対するアプローチに関していては私や多くの読者が予想した通り、「最新の『劇』を体感する」というアクア自身の体験に基づくものであった。

 そして脚本家と原作者の板挟み状態になっていた雷田の元にアビ子先生の来訪が告げられ、遂にはタイマン勝負へと発展していく。アビ子先生の劇とその舞台装置への感動、雷田の劇を良いものにしたい一方で立場が弱いこと、とお互いの本音をぶちまけた結果アビ子先生はある一つの条件で脚本家に歩み寄ることになる。それは、オンライン通信とクラウドによるリアルタイムでの会議とリライティングであった。

 雷田の説明の中で出てきた著作者人格権、同一性保持権など、クリエイターの世界の専門用語も当然のようにぬるりと出てきて、相変わらずリアリティを楽しめた次第である。

 

クリエイターの団結

 クラウド化

 近年IT化が進み、コロナ禍でのオンラインワークも普及した今、zoomなどを通じたオンライン環境での作業は一般となったと言えるであろう。それを支えている一つの技術にクラウド化というものがあり、それを用いることで共通のファイルをリアルタイムで編集したり、閲覧したり、保存したりできるのである。今どきの就活界隈などでは、オンライン上のインターンシップでのグループワークではこのクラウドを利用して同時にあるテキストを編集することが一般的になっていると言える。

 つまり、この技術があれば話をしながら、同時に編集をすることができる。そしてそれは、雷田というクッションを挟むことなく脚本家と原作者がお互いに自身の意図をリアルタイムで説明し、擦り合わせ、一つの作品にしていくことが可能であることを示しているのだ。

 お互いに自分の意図することをそのまま説明し、理解できない部分はその背景まで説明し、お互いのラインを探っていく。その中で本来の「より良い作品」を目指して、脚本家の目線からの劇場技術と原作者の目線からの劇において重視してほしい心情であったりキャラクターであったりとピースを組み合わせていく。そうして意気投合した二人は遂に「より良い作品」を完成させたのである。


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『【推しの子】』49話 より

 

とんでもない脚本(全重曹推し集まれ)

 さて、原作者と脚本家がお互いの持てるものを擦り合わせてできた納得のいく「より良い作品」。それは漫画とはことなる媒体である舞台のために挿入されていた説明台詞を省き、一つの物語として役者の「動き」を強要するものであった。役者の演技を信頼しているとも、丸投げしているとも取れるそのキラーパスに慄きながらも、次からはアクアや重曹ちゃんら役者たちのターンが始まるようである。 


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『【推しの子】』49話 より

 

 ここで一つ予想するなら、やはり原作と若干異なった物語が劇上では展開されるのではないかということである。脚本家のGOAさんが「原作と離れる」と言ったのに対して、アビ子先生がキャラの柱がブレないなら大丈夫であると言っています。そして前回48話では吉祥寺先生とアビ子先生の会話から『刀鬼』と『つるぎ』のカップリングなど自分自身で納得のいっていない展開を繰り広げていることも示唆されています。(前回の記事で誤情報を載せてしまい大変申し訳ないです)

 『刀鬼』はアクア、『つるぎ』は重曹ちゃんが演じる。そして物語上『刀鬼』と許嫁であるのがあかね演じる『鞘姫』である。(改めて皆さんに対して説明すると見せかけて書くことで私自身も頭を整理しています)ここまでくると原作と異なる展開ということで劇上では『刀鬼』と『鞘姫』のアクあか的な展開になると考える人が多いのかもしれない。

しかし、私は違う

 熱烈的な重曹ちゃん信者である私としては全てが重曹ちゃんに帰結するのは当然である。まぁ常識的な国語力があれば(今のところは)重曹ちゃんがヒロインであるのは当たり前であり、それこそ幼少期からのエピソードや未来軸での呼び方、アクアとしても無意識に重曹ちゃんの存在が大きいことなど挙げればキリがない。

 確かに、重曹ちゃんがヒロインであることと、この章でアクあかではなくアクかなのエピソードが描かれるかは別であるような気がするが、そのようなことは大したことではないのでとにかくアクかなを予想させてくれ。前回48話ではアビ子先生が「読者人気に気圧されて中途半端にねじ込んでいる」と表現されている。その言葉を受けて「刀鬼とつるぎのカップリング」がアビ子先生の意に反しているという前提を持ちがちであるが、少し視点を変えよう。

 つまり、「『中途半端』にカップリングを入れ込んでいること」が問題なのである。最新話からアビ子先生がキャラクターの柱や心情を大事にするタイプであることが分かった。本来であればいくつかの展開を踏んで、いくつかの心情の変化を経て互いに意識するはずが、読者人気からそれを不用意に入れてしまいキャラがブレた。アビ子先生自体は『刀鬼』と『つるぎ』のカップリンが嫌な訳ではなく、それを物語として不自然に、不自然な展開でいれていることが、キャラクターの柱をブレブレにしているようで嫌であると考えることができないだろうか?


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『【推しの子】』49話 より

 

 以上の展開を信じるなら、劇上では原作である漫画とは異なった展開で、より二人の心情の変化を段階踏んで、『刀鬼』と『つるぎ』、つまりはアクかなを見ることができるのではないだろうか。推しへの愛が傾いている変人の戯言と取ってもらっても構わないがここにいち重曹ちゃん推しとして書いておこうと思った。

 

今週の重曹ちゃん

 この新しい台本を見て、脚本家と原作者の無茶ぶりを見て「役者に丸投げ」と言いながらも内心ワクワクしてそうなこの表情。最高にたまらんですね。


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『【推しの子】』49話 より