葉のブログ

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【感想と考察】『僕の心のヤバイやつ』Karte.107「僕は楽しみ」【漫画】

 今回は珍しく心が痛い回。

 この痛さも思春期なのだろうか。

 2022年10月25日にマンガクロス | 秋田書店の新作漫画が無料で読める! (mangacross.jp)『僕の心のヤバイやつ』最新107話「僕は楽しみ」が更新されたので感想と考察を書いていこうと思います。

 前回の感想記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 

Karte.107「僕は楽しみ」感想と考察

夏服イベント到来

 体育祭という陰キャ及び運動音痴絶叫のイベントを乗り越えた二人。山田(運動音痴)と市川(運動音痴かつ陰キャ)にとっては穏やかな日常が還ってきた。

 しかし、学校生活という管理社会の中では定められたイベントが波の如く押し寄せる。その内の1つが夏服イベントである。

 普通に考えるならば、暑ければ涼しい格好をすれば良いし、寒ければ着込めば良い。ただ学校という箱の中では何故か夏服/冬服の変わる日というのが定められている(私服校は除く)。

 当然、集団生活を強制される学校という場所において、その変化に乗り遅れることは大きな疎外感に繋がるだろう。大人になって思い返すと不可思議な環境である。

 そして、その流れに乗り遅れるのが市川だ。

 登校中にペヤングを食べる山田(朝食ペヤングは厳つい笑)の姿を見て気づくのだ。着替えに家に戻って遅刻する訳にもいかない。仕方なく登校中に少しずつ学ランの上を脱いでいくことで恥ずかしさを紛らわす。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.107 より

修学旅行イベント

 山田はいつも以上に機嫌が良さそうだ。

 そんな中で、修学旅行の班決めが始まる。そうなのだ。学校生活において強制的に訪れるイベント1位(ブログ主調べ)の修学旅行である。ある人にとっては、友達とわいわい慣れない土地へ行く楽しみなイベントである。一方で、ある人にとっては、そこまで仲良くない人と家に帰ることも出来ず束縛される地獄のような時間である。

 結局物事は見方によって変わる。

 そんな市川は神崎に班に山田を入れると提案される。市川は勇気を出して山田を誘うが、そもそも班決めは宿泊施設での部屋の班であったし、神崎が言う山田は男の山田徹平(おそらく初登場)であったしで恥ずかしさしかない。

 それでも市川は、修学旅行が楽しみなのだ。

 山田から借りている『君オク』にも修学旅行シーンがあるらしい。その中で登場人物がキスすることから市川の妄想は広がっていく。それほどまでに市川は修学旅行が楽しみなのだ。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.107 より

山田の苦悩

 一方で山田は苦悩を抱える。

 山田は隠すのが上手ではない。だから市川にもその「ヘン」な部分は伝わる。それでも山田は市川には言えないのである。勿論守秘義務もあるだろうが、それ以上の想いがあるからだろう。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.107 より 

 どうやら、山田は『君オク』のドラマの主演オーディションを受けたらしい。山田の枕元に置いてある文字を見る限り「第2次」のオーディション通知であることが分かる。そして今朝山田の機嫌が良かった要因はこれであることが窺える。

 つまり、山田はドラマ化する『君オク』の主演オーディション第2次選考を無事通過したのだ。『君オク』と言えば、山田が好きで市川に勧めた作品。市川と山田を繋いだ作品である。加えて「主演」であることから、山田の役者人生を賭けたものであることが分かる。おそらくその第3次オーディションが修学旅行と被っているのではないか。

 一方で、山田は市川の過去を知っている。

 学校に馴染めず林間学校に行かなかった。そんな市川が修学旅行を楽しみにしている。当然、山田は好きな人と修学旅行に行きたいし、好きな人が楽しみにしていることに水を差したくない。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.55 より

 市川が言うように、『君オク』には修学旅行で想い人同士がキスをするシーンがある。市川が妄想するのだ。主演オーディションのためにも漫画を読み込んだ山田であれば尚更想像しただろう。

 好きな人との修学旅行。

 学校生活の中で訪れるイベント。

 一生に一度しか訪れないイベント。

 市川との修学旅行は絶対に楽しいと想像がつくだろう。一方で、役者の道も市川に気付かせてもらった道なのだ。ましてや、山田自身が「頑張りたい」と決めた道でもある。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.80

 だから山田は思わず涙を流すのだ。市川には悟られないように画面を切って。役者としての道も想い人との絶対に楽しい修学旅行も本来では天秤に掛けられないほどに大切なものなのだ。 

 そして冒頭でも記述した通り、学校生活において皆と違うというのは疎外感にも繋がる。修学旅行というクラスの誰もが共有する思い出を共有できない。それはある意味で怖い事でもある。

 自分の大切なことを2つ天秤に掛けた。

 その結果、市川に伝えることも出来ず、泣きながら楽しそうな修学旅行の話を続ける。因みに私はこの涙がどちらの涙なのか分からない。オーディションを諦める涙なのか、修学旅行を諦めながら市川に隠す涙なのか。

 山田が市川に対して嘘を付かないのであれば、市川が林間学校に行かなかったことを知っているからこそオーディションを諦めたことになる。

 一方で、修学旅行を諦めるのであれば、マネージャーや両親など色んな人の力を借りて、自分を評価してもらえた。そんな場所を休むことはできず、一方で修学旅行を楽しみにする市川に言い出せないでいる。

 主の個人的な意見としては後者だ。オーディションはマネージャーや両親など多くの人が関わっているだろう。演技を評価してくれた人だって居るのだ。だからこそ、山田の中にオーディションを休むという選択肢はない。ただ、その中で市川やクラスメイトと修学旅行を共に出来ないことに泣いていると解釈した。

 ハートフルな展開が続く『僕ヤバ』に偶に訪れる胸痛む展開。今回の山田の苦悩は今までの展開を遥かに超える辛さがある。だからこそ、ここから市川がどのように動くのかが気になるところだ。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.107 より

主のイチオシシーン

 鼻歌を歌う機嫌が良い山田。

 実は過去にも機嫌が良いときは鼻歌を歌うのが山田の癖である。単行本を持っている方は是非とも探してほしい。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.107 より 

次回更新について

 『僕の心のヤバイやつ』は、マンガクロス | 秋田書店の新作漫画が無料で読める! (mangacross.jp)で隔週更新である。次回更新は2022年11月8日予定である。