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【感想と考察】『【推しの子】』65話「後悔」【漫画】

 2021年12月9日発売の「ヤングジャンプNo.02」で『【推しの子】』の最新65話「後悔」が掲載され、更新されています。

 前回の感想記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 最新6巻はこちらから。

 

 因みにですが、以前『【推しの子】』の今後の展開について割と本気で考察した記事を書いていますので、今後の展開まで予想したい方は以下の記事をチェックしてください。また、この記事で書いてある考察などを前提にこの記事のように各週の感想記事も作成しています。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 重曹ちゃん推しは感想考察の最後だけでも読んでくれ。

 

 

65話「後悔」感想と考察

アクアの後悔

 後悔

 読んで字の如く「後に悔やむ」。

 ああしておけば、こうしておけば。

 人間は常に選択の連続で、その積み重ねで生きている。

 自分が選択してある道を選んだように、選択しなかった道にも無限大の可能性がある。だから人間はIFストーリーが好きなのだ。

 現実という狭い箱と違ってIFという無限の可能性を見せてくれるから。

 

 当然、悔やむのはその選択をした自分自身である。

 何か許せない結末があったとしても、それは自身で選択したものである。

 

 だからアクアは自分自身を許せない。

 他の子どもより特別で、自身を殺した犯人が居るという可能性を知っていて、誰よりもアイのことが好きだと自負していて、手の届くところに居ながらアイを救えなかった。それは全てアクア自身の事なのだ。

 

 もう二度とアイの声は聞こえない。

 もう二度とアイに褒められることはない。

 もう二度とアイに抱きしめられることはない。

 

 後に戻れないからこそ、人は悔やみ、そしてIFを想う。


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『【推しの子】』65話 より

 

アクアの感情演技

 とどのつまりアクアの感情演技は負の感情なのだ。

 アツいとか、頑張るだとか、カッコイイだとか、そんな映える感情は扱えない。

 ただ失ったものを取り戻したいという悔やみに悔やみきれない感情。

 

 しかし、それは今回のアクアの役回りと非常にマッチしている。

 あかね演じる「鞘姫」を失い、怒りと悲しみに駆られるアクア演じる「刀鬼」。

 正しくアクアの過去を全くそのまま当てはめたようなシーンなのだ。

 

 だからこそアクアの全力の感情演技は誰よりも重く、説得力のあるものとなる。

 そして、話の展開は重曹ちゃんの力によって鞘姫が生き返る流れとなる。

 

 アクアは国語が得意なのだ。

 監督やディレクターの意味を汲むことを当たり前にやってのける。

 そんなアクアにとって今まで何度も想像したであろう「アイが生き返る」というIFは、心の底から切実に願うそれは、「本物の涙」をスポットライトに映えさせる。


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『【推しの子】』65話 より

 

あかねの立ち位置

 恐らく今話を読んだ読者の内、「あぁあかねのターンか」と喜んだ方、悲しんだ方それぞれいらっしゃるだろう。そんな誰でも分かることが今話ではアイとあかねが重ねられていることだ。

 アクア自身があかね(鞘姫)の死に対する演技としてアイの死を重ね感情を利用している。分かりやすい重ね方である。

 これは「今ガチ」の時のあかねのトレースに対してアクアが重ねたときからずっと行われている対比である。


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『【推しの子】』29話 より

 

 あかねがアイのトレースをして、それに対してアクアは本物のアイの面影を見る。そこにある感情を最初は恋心などなのかと考えるアクアであるが、実はこの疑問はその次の30話でアクアの中で結論が出ている。


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『【推しの子】』30話 より

 

 重曹ちゃんとキャッチボールする中で得た答えは、

 黒川あかねには星川アイの幻想を見ているだけ

 

 ただ、それ以上にあかねのアイをトレースするという能力が利用できると思って今のカップル仮状態なのである。

 つまるところ、アイとあかねが重ねて表現されるのは、あかねがそのような能力であり、そのような部分にアクアが利用価値を感じているからこそ描かれなくてはいけないものなのだ。

 勿論、あかねとアクアが時間をかけて…みたいな展開もある可能性は否定しないが、現状だとアクアがアイに重ねてあかねを見るのは当然と言うかなんというか、と言った感じだ。

 今話で最も重要と言えるポイントではない。

 

実は重曹ちゃんとアクアも重ねられているのでは?

 さて、ここからが今話に対して私が一番声を大にして言いたい部分である。

 全重曹推しの人類にはここだけでもいいから読んでほしい。

 

 全人類あかねとアイを重ねたような演技に注目しがちだが、今話では重曹ちゃんとアクアも重ねるような表現をされているのではないか、ということだ。

 

 今話の一番重要なポイントはアイとあかねが重ねられていることではなく、アクアが感情演技をしたという事実である。わざわざ物語冒頭でアクアの回想の中でアイがアクアの演技を褒め、「誰よりも凄い役者になれる!」と言っている。

 つまり、感情演技を手に入れたことはアクアにとって「アイの願い」である「凄い役者になる」というものを実現する足掛かりになるわけだ。

 前話でアクアが業界人の評価を得るという話をしていたことからも、この演技をキッカケにアクアの役者としてのストーリーがまた進むことが考えられる。(その前にアイドルB小町編が挟まるかもしれないが)

 

 その際にアクアが演技で求められるものは何であろうか?

 

 今回見せたような本心からの苦しみとそこから流す涙ではないだろうか?

 

 つまり、アクアは2.5舞台編を通して「いつでも泣ける役者」という立ち位置を手に入れたと考えることは出来ないだろうか?

 皆さんは「いつでも泣ける役者」というフレーズに聞き馴染みがないだろうか?

 ちなみに、私はいつでも泣ける重曹を知っている。

 

今週の重曹ちゃん

 アクアの感情演技とそこに込められた感情に驚く重曹ちゃん。

 これは次に来るであろうアイドル編でのアクかなの絡みが楽しみである。


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『【推しの子】』65話 より 

 

 てか、来週休載かーーーーーい。

 という訳でまる。