2021年11月18日発売の「ヤングジャンプNo.51」で『【推しの子】』の最新63話「天才役者」が掲載され、更新されています。
前回62話のあらすじなどは以下のリンクから確認をお願いします。
最新6巻が11月19日に発売予定ですので要チェックです。
因みにですが、以前『【推しの子】』の今後の展開について割と本気で考察した記事を書いていますので、今後の展開まで予想したい方は以下の記事をチェックしてください。また、この記事で書いてある考察などを前提にこの記事のように各週の感想記事も作成しています。
63話「天才役者」感想と考察
重曹ちゃんの子役時代
これは私の持論であるが、芸能界に自身の意志で子供の時から飛び込む人は意外と少ないのではないだろうか。これは完全な偏見であると思うが、私はそう思う。
親がその界隈に所属していたにしろ、親がオーディションに申し込んだにしろ、子どもは一人で芸能界に自身の意志のみを持って飛び込むのは難しいことだと思う。
重曹ちゃんも紛れもなくその一人だ。
誰よりも芸能界に憧れていたのは重曹ちゃん本人ではなく、重曹ちゃんの母親なのだ。
だからこそ、重曹ちゃんの役者生命は母親の"芸能人"ステータスに関わってくる。
言ってしまえば子どもをまるで自分の道具の様に扱っている(無意識にせよ)、毒親の典型例なのかもしれない。
重曹ちゃんは好き勝手振る舞うのは好きなのだ。
ただ、それは母親が喜ぶこと、周りが喜ぶことが大前提にある。
だからいつしか重曹ちゃんの演技は「周りに欲される脇役」に変わった。
流行に陰りが見えた「いつでも泣ける天才子役」は、新たなポジションを探した。
過去にアイが出演したドラマで、同年代であるアクア(ただし精神年齢は考慮しない)の姿を見て、カントクの言葉を聞いて、それで模索した道なのだ。
そのような意味では今の「周りを照らす」重曹ちゃんは間違いなく過去のアクアの影響を受けているのだ。
今の重曹ちゃんはアクアが形作ったと言っても過言ではない。(過言)
『【推しの子】』63話 より
アクアへの信頼感
今の重曹ちゃんを形作ったのがアクアであるならば、
それを壊すのも、これからの重曹ちゃんを形作るのもアクアなのだろう。
あかねに「やりたいようにやれ」と言われても響かないのである。
なぜなら、あかねにとって重曹ちゃんは絶大な影響力を誇る対象であっても、重曹ちゃんにとってはそうではないからだ。
だから、アクアが言うのだ。
「つるぎ」の演技がどうとか、言い訳がましい枕詞を携えて
「俺も有馬の演りたい芝居を見てみたい」
『【推しの子】』63話 より
あかねの言葉では響かなかった。
かつて重曹ちゃんが芸能界で生き残るために絶大な影響を与えたアクアの言葉だからこそ、重曹ちゃんの演技に掛けられた鎖を壊すことができるのだ。
あかねは重曹ちゃんのヲタクであったが、重曹ちゃんはあかねのヲタクではなかった。
そして重曹ちゃんはアクアのヲタクなのだ。
(節々で描かれているがアクアも重曹ちゃんのヲタクだ)
ただそれだけだが、それが重要なのだ。
天才役者・重曹ちゃん
結局、人間は分かりやすいレッテルが好きなのだ。
だから演技だとか、その技術だとか、細かく難しいことは置いておいて簡単で一目で分かる特徴がクローズアップされる。
「泣ける」というフレーズもそのレッテルの一つでしかない。
何も重曹ちゃんは泣くだけで一世を風靡したわけではない。
子どもらしさ、という怖いもの知らずで自分勝手に振る舞うその姿は、流行の陰りと共に避けられる原因ともなったが、間違いなく重要な要素である。
太陽の様に輝く、誰しもの目を惹くスター性。
上手くいくとか、ここでは誰が輝くとか捨て置いて。
ただ、「もっと私を見て」
『【推しの子】』63話 より
その姿はアイの様で
以前から私の記事では指摘していましたが、今話では分かりやすく重曹ちゃんとアイの姿が重ねられていたと思います。
アイもかつての収録で、主役を食ってしまうほどの演技から「使えない」と判断されたことがありましたよね。
それと同じ、全ての人に「見て」と訴えかける演技。
このアイと重曹ちゃんの類似点は以降の考察でも重要なポイントでしょうね。
今週の重曹ちゃん
金ぴか重曹ちゃんは思わず笑ってしまった。
それにしても、他の誰の言葉でも演技を変えなかったのに、アクアの言葉で「アンタが悪いんだからね」とツンしながらも、スターの演技を見せることでデレる重曹ちゃん。
ツンデレ界隈の最先端を行っている。
『【推しの子】』63話 より