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【感想と考察】『【推しの子】』64話「トリガー」【漫画】

 2021年12月2日発売の「ヤングジャンプNo.01」で『【推しの子】』の最新64話「トリガー」が掲載され、更新されています。

 今までの重曹成分を爆速で回復するアクかな展開にこれからどのような舞台になっていくのか、目が離せません。

 前回の感想記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 11月に最新6巻が発売されています。

 因みにですが、以前『【推しの子】』の今後の展開について割と本気で考察した記事を書いていますので、今後の展開まで予想したい方は以下の記事をチェックしてください。また、この記事で書いてある考察などを前提にこの記事のように各週の感想記事も作成しています。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 

64話「トリガー」感想と考察

皆の"演技"

 以前の失敗を踏まえ役者として一皮剥けたメルトくん

 重曹ちゃんを輝かせるために重曹ちゃんを超える演技をするあかね

 自分を押し込めてきたものの周囲を魅了する天才役者の重曹ちゃん

 

 本作でスポットが当たった彼も彼女も皆、演技を楽しんでいた

 

 自分とは違う人格をモノにする喜び。

 全力で感情を出せたことへの喜び。

 注目されることへの喜び。

 

 恐らくそれらの喜びを知っているからこそ役者は何度でも舞台に立つのだろう。

 様々な境遇や理由があれど、最終的にはその快を得るために演じるのだ。

 

 これは心理学的に考えても当たり前のことで、快を得られるものにはプラスのフィードバックが行われて行動回数が増えるし、不快なものにはマイナスのフィードバックが行われて行動の回数が減るのだ。

 誰だって楽しいことはしたいし、楽しくないことはしたくないのだ。

 

アクアのトリガー

 舞台に立つ誰しもが楽しんでいる。

 演技は楽しいもの。それはアクアに取っても例外ではないのだろう。

 

 でも楽しむことを過去の自分が許さない。

 その可能性を予期できたにも関わらずアイの死を止めれなかった自身への戒め。

 

 二周目の幼き日に遭遇したあの事件でアクアが背負った業は”罪悪感”なのだ。 

 だから、楽しければ楽しいほど同時に苦しくなる。

 アクアにとって楽しいは苦しいと同義なのだ。


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『【推しの子】』64話 より

 

アクアの楽しまない演技

 メルトくんが皆を見返そうと演技をしたように、あかねが重曹ちゃんを想って演技をしたように、重曹ちゃんがアクアを信頼して演技をしたように、演技は誰かを想うのだ。

 それは芝居がそれを見てくれる誰かが居てこそ成立するものであり、演技もそれを見る人が楽しんでこそ楽しさが得られるものだからだ。

 

 では、アクアは誰を想うのか。

 

 舞台上であかね演じる鞘姫が切られ倒れる姿に重なるのは、何年経っても忘れられないアイの顔である。


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『【推しの子】』64話 より

 

 思い描く顔はアイの顔。

 背負ったものは罪悪感。

 

 だからアクアは演技を楽しまない。

 楽しめないのではない。

 自身の演技を復讐のための道しるべとし、道具とする。

 アイの復讐のために必要な芸能界での"評価"を手に入れるため。

 姫川もあかねも。そして重曹ちゃんも。

 アクアにとっては全て超えるべき対象なのだ。


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『【推しの子】』64話 より

 

 そのために、アイの亡くなる直前の顔を描き、演技を娯楽という目的ではなく復讐までの手段とし、徹底的に苦しむ。

 その姿は舞台上では、誰よりも”本当の”感情が乗った感情演技になるのだろう。


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『【推しの子】』64話 より

 

打算の言葉

 さて、ここまで今週の流れを整理したところで先週の展開をもう一度。

 先週は重曹ちゃんに「もっと全力で演技をしろ」というメッセージを投げかけています。

 アクアが単純に重曹ちゃんより”いい演技”をするだけなら、正直重曹ちゃんにより良い演技をしてもらう必要はありません。つまるところあの言葉にもある程度の打算があったと考えられます。

 全力の重曹ちゃんの演技披露した上でそれを超えた方が『評価』は高くなるでしょうから。

 そうなると、かつてあかねにキスをした時のようなアクア特有の「気持ち悪さ」が見えてきますね。

 これが今後重曹ちゃんやルビーの目に映るような展開も個人的には期待しています。

 勿論重曹ちゃんやルビーが太陽としてアクアを照らしてくれる方向で。

 

2.5舞台編の対比構造

 正直誰しもが思っていた。

 2.5次元舞台編、長い、と。

 

 次々と移り変わるスポット。

 めるとくんから始まりあかね、重曹ちゃん。

 いやいや何時アクアの出番来るん?みたいな。

 でもその積み重ねがあったからこそ、アクアの『楽しまない』演技がどれほど重いものなのか分かるだろう。

 これがアカ先生が狙っていた効果なんかなぁ~と。

 

今週の重曹ちゃん

 『そういうアンタはどうなの?』

 と語りかける重曹ちゃん。

 

 やはり一流の役者同士が手を合わせちまうとお互いの心が読めちまうんだ。

 某忍者漫画で復讐に囚われたサ〇ケも言っていた言葉だ。

 

 演技として利用したアイの死という過去。

 自分を壊すほどのその感情はきっと舞台上で拳を交わす重曹ちゃんにも届いているのでは?

 闇落ちしてるサ〇ケに手を差し伸べるのはナ〇ト。

 闇落ちしてるアクアに手を差し伸べるのは重曹ちゃん。

 ハッキリわかるよね??(圧)

 

 無理矢理こじつけました。


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『【推しの子】』64話 より