葉のブログ

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【感想と考察】『【推しの子】』37話「プレッシャー」

 2021年3月18日発売の『週刊ヤングジャンプNo.16』で『【推しの子】』の最新37話「プレッシャー」が更新されたので感想と考察を書いていきたいと思います!

 

 前話の感想記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 また、先週の休載に合わせて今後の展開の考察記事も書いていますので、こちらもよろしくお願いします。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 

 

 37話「プレッシャー」感想と考察

プレッシャー 

 「プレッシャー」という語でググると「精神的圧迫」という言葉が目に付く。そもそも人間は刺激のない状態というのは耐えられないものである。そのためスポーツ選手などは無理やりある程度のストレスを感じる環境に身を置き、パフォーマンスを高めるなんて話もある。ポイントとなるのはこの「ある程度」という部分である。

 「アクア=ぴえヨン」という真実が頭の中を駆け回り、十分に睡眠をとることが出来なかった重曹ちゃんは目の下に隈が出来るほどにコンディションが悪いと言える。人間だれしも体調が悪いと思考回路も悪い方へ悪い方へと行くものである。それが元よりネガティブな傾向のある重曹ちゃんなら尚更であろう。

 「病は気から」なんて言葉がある通り、身体の健康と精神の健康はある程度の繋がりがあると考えられ、体調不良の重曹ちゃんは思考もよりネガティブになり、そしてそのような状態では「プレッシャー」を自身のパフォーマンスに合わせてコントロールなんてできないのである。最新話は一言で言うと「重曹ちゃんの思考回路」で終わるが、その思考には重曹ちゃんの元の性質であったり、その場の環境であったり、様々なものが考えられる。


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『【推しの子】』37話 より

 

責任感という油

  プレッシャーを増大させる燃料として一つ「責任感」がある。「B小町」はグループであり、成功も失敗も自分一人のものではないのだ。その中で、センターにも指名された重曹ちゃんはより一層「自分がやらなくては」という思考回路に陥る訳である。これは、子役として成功から失敗までを経験してきた重曹ちゃんだからこそ、他のメンバーに自分と同じ思いをしてほしくないというものであろう。

 重曹ちゃんの責任感の強さは以前から話題として出しているが、それが今回は確実に悪い方向へ出ていると言える。しかし、この責任感の強さは「周りの人にはつらい経験をしてほしくない」という優しさでもあり、重曹ちゃんの良いところでもあるはずだ、とは言っておきたい。 

 

 

プライドという油

 さて、プレッシャーを増大させる燃料としてもう一つ「プライド」がある。重曹ちゃんは子役として売れているため、芸能界歴=年齢のような状態である。つまり、芸能界という環境は自身の「ホーム」である訳である。自分のステージ上で、自分は経験が豊富で、それ故に自分はやれるはず。過去の栄光に縋るそのプライドは時に人を追い込んでいくのである。

 しかし、ここで忘れてはいけないことがある。重曹ちゃんは芸能界に居ても、アイドルでは無かったのだ。もちろん、人前に出ることにはある程度慣れているのかもしれないが、役者の経験が全てアイドルに還元されるわけではない。それは、重曹ちゃんも知っているはずで、ルビーにアイドルに誘われた20話ではアイドルと役者の仕事のスタイルを別物として考えていることが分かるだろう。


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『【推しの子】』20話 より

 

 誘われた時から役者とアイドルは別物であると分かっていたはずなのに、「芸能界に居た自分は上手くやらなくてはいけない」というプレッシャーを自分自身で感じてしまっている。元からのネガティブ思考に睡眠不足が重なり、グループへの責任感から自身の過去の栄光に縋る。完全に思考が出口のない円環を回り続けている状態である。

 

ルビーの"平等な"視点 


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『【推しの子】』37話 より

 「B小町」はグループである。成功も失敗も一人ではない。それは一人で抱え込む必要はないという意味でもある。しかも今回のステージが初めての舞台である。本来であれば、「失敗しても責められない」場面なのである。

 そして、この視点を投下してくれるのがルビーなのである。前世で「何も出来なかった」という経験があるからこそ、やること全てが新鮮で挑戦である。人間はいつしか「成功」という結果ばかりに目を向けるようになるが、一方でそれをやること自体、それに挑戦したことにも意味があったことを忘れていくのかもしれない。小さい子どもが初めて何かをするときにその失敗を咎める人なんていない。重曹ちゃん自身が表現していたようにルビーやMEMが芸能界でひよこであるように、重曹ちゃんもアイドルとしてはひよこなのである。失敗して当たり前であろう。

 ルビーの言葉によって、勝手に自分を大きくして必要のないプレッシャーまで感じていた状態から重曹ちゃんは解放され、プレッシャーの調整ができた。重曹ちゃんは「新人アイドル」として一歩を踏み出すのである。

 

 また、こうして話を読み終えた時に重曹ちゃんの「アイドルとしての問題」は纏まったものの「アクア=ぴえヨン問題」については思考の彼方へ飛ばされているので、ステージを終え、余裕が戻ってきた際に二人の間で何かしらがあるのは確定なのである。ステージが成功してアクアに対してツンデレるかもしれないし、ステージが失敗してアクアに対して謝るのかもしれない。私としては二人の絡みが見れたらそれでOKです。

 

今週の重曹ちゃん

  重曹ちゃんは、もう一人じゃない。

 それを弱さではなく強さにしてほしい。


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『【推しの子】』37話 より