2025年1月12日に少年ジャンプ+|人気オリジナル連載が全話無料!の最強WEBマンガ誌 (shonenjumpplus.com)で『ふつうの軽音部』53話「力になる」が更新されたので感想と考察を書いていこうと思います。
前回の感想きじはこちら。
53話「力になる」感想と考察
鷹見の原点
53話で描かれる一番大きなポイントと言えば、「鷹見と兄の関係性」である。予てより鷹見の回想にて「バンドをする兄の存在」は描かれていた。そして、今回の話も踏まえて考察されるのは鷹見が鳩野に突っかかる理由である。
さて、少し前より描かれているが鷹見の兄はバンドマンの様である。そして、鷹見の父と折り合いが悪いということもいくつかの描写から考察される。そして、鷹見自身も「のたれ死んでいるんじゃないっすかね」と兄に対して冷たい言葉を発する。
Ⓒ 集英社 2025
クワハリ/出内テツオ『正反対な君と僕』53話 より
しかし、ここで考察したいのは、鷹見は本当に兄のことが嫌いなのかということだ。鷹見の父は「兄の様にはなるな」と言葉をかける。しかし、鷹見自身は兄に影響されている行動があり、兄は憧れの対象なのではないかと考える。
1つの理由が、鷹見が軽音部に入部しているという事実だ。父の発言から察するに、鷹見の父はそもそもバンド活動に否定的なのではないか。そんな中でも鷹見が軽音部に入るのは、幼い頃から兄の姿に憧れを抱いてきたからに違いない。
しかし、鷹見の兄は夢を追いかけつつも成功はしていないようだ。だからこそ、鷹見は圧倒的な実力を追い求めるのだろう。
そう思えば、鷹見が鳩野に突っかかる理由も頷ける。下手ながらも夢を追いかける鷹見の兄と鳩野の姿がどうしようもなく重なるのだろう。だから、鷹見は鳩野と勝負をしたい。兄と重なる鳩野に勝つことで、実力を備えた自身は兄を超えて成功できると信じられるから。
53話で判明したのは、一見クールそうに見えて、高見はどうしようもないほど鳩野を意識しているということだ。もしかしたら、鷹見が「たまにしている」と言う弾き語りすらも兄の影響かもしれない。その場合、鳩野が弾き語りしていることを水野から聞いたらより一層意識するのだろう。
厘の協力
前回52話にて、現在の部活動の動きが鶴先輩の思惑の下にあることを察した厘。そして、厘は現状の部活動の動きを好ましく思っていない。
鶴先輩の扱いに困る亀屋兄妹の下に厘が協力を申し出る。亀屋兄妹からすれば、猫の手も借りたい状態であろう。ただし、厘は部活動の中でも目立たない女子の立ち位置である。そんな彼女から、こんな表情で突然「力になりましょう」なんて言われたら普通に怖くないか。
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クワハリ/出内テツオ『正反対な君と僕』53話 より
しかし、この展開自体は読者の中でも予想されていたものである。たまき先輩が卒業した時から、副部長である算ちゃんはその懸念を抱えていた。そしてたまき先輩に泣きついた結果も、「な…なんとかがんばって」である。
そのような意味で、厘が亀屋兄妹に接触したのは、算ちゃんからすれば願ってもないことなのだ。鶴先輩に対抗できるような頭の回る人。正しく謀略策略を駆使して桃と彩目をバンドに加えた厘がピッタリである。
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クワハリ/出内テツオ『正反対な君と僕』47話 より
だから、ハロウィンライブと並行して次回以降、部活動の運営として何かしらの策を厘が用意するはずだ。最終的には厘はその策や自身の立場すらも鳩野のために利用するのだろう。それでも軽音部の流れが変わることは確定事項と言える。
主のイチオシシーン
冬服への衣替えの日。しかし、あくまでも衣替えの判断は各自に委ねられているようだ。暑いのを我慢して冬服に変えたにも関わらず、周囲は全員夏服のままである。
このズレていることも鳩野らしさである。それも厘からすれば「神」と称する理由になるのかもしれない。
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クワハリ/出内テツオ『正反対な君と僕』53話 より