葉のブログ

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【感想と考察】『僕の心のヤバイやつ』Karte.113「私の恋心」【漫画】

 全人類がこの日を待っていた。

 例に漏れず、神回。

 いや、過去一番の神回である。

 2023年1月24日にマンガクロス | 秋田書店の新作漫画が無料で読める! (mangacross.jp)『僕の心のヤバイやつ』最新113話「私の恋心」が更新されたので感想と考察を書いていこうと思います。

 前回の感想記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 新巻は3月上旬発売の様だ。

 書影も公開されているが、正しく最新113話の名場面が表紙である。買って後悔無い8巻は今の内から予約など要チェックである。

113話「私の恋心」感想と考察

市川の見送り

 京都で市川が絵馬に書いた「受かりますように」。この言葉は受験に対してではなく、山田のオーディションについてだろう。足立はすっかり受験のことだと思っているが。

 修学旅行とオーディションを天秤に掛け、修学旅行を取った山田。しかし、市川の想いと後押しを受けて修学旅行を途中抜けしてオーディションに向かう。早朝ホテルを出発する山田を市川は見送りに出る。

 市川からの選別は大量のお菓子である。

 どうやら市川は修学旅行のカバンいっぱいにお菓子を詰め込んできた様だ。よく見てみると、カバンの中に入っているお菓子はどれも二人の思い出に関わるものである。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.113 より

 パッと見ただけで4種類。

 ポテチ、じゃがりこ、アーモンドチョコ、MeltyKiss、。

 ポテチは、市川と山田ので図書室での出会いまで遡る。社会の研究発表を一人で作ろうとする山田に対して、カッターを貸す。その際に山田が食べていたのがポテチなのだ。最後、ポテチの残りもといゴミ袋を渡す。ここから二人の関係は始まった。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.1 より

 じゃがりこについては、私の方でパッと思い浮かぶ二人のストーリーは無い。もしかしたらじゃがりこ回が存在するかもなので、ゆっくり後ほど読み返したい。 

 アーモンドチョコは、図書室の規制が強くなった回に登場する。飲食が禁止されている図書室での飲食を続ける山田が先生に見つかりそうになったところを市川がなんとか隠すのだ。アーモンドチョコを持った山田の手を握り、思わず想いが伝わってしまいそうなほどの距離で見つめ合うのだ。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.30 より

 MeltyKissは割と直近の話かもしれない。バレンタイン回でチョコを渡せず悩む山田に市川の方からプレゼントしたお菓子である。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.73 より

 このように市川がお菓子を持ってきたのは、単純に山田がお菓子好きだからではない。山田との思い出を鑑みた上で、間違いなく好きなものを選んでいることが分かる。

 そして、かける言葉も「頑張れ」ではなく「大丈夫」。この言葉は、以前撮影に臨む山田に送信した言葉と同じである(『僕の心のヤバイやつ』Karte.96参照)。沢山努力をしている山田に「頑張れ」と言葉をかけるのは余計なお節介なのだ。頑張っているのは知っているからこその「大丈夫」。何よりも山田を信頼している言葉であろう。

"いつもの場所"

 私としては、上述した冒頭のシーンだけで涙ものである。今までの思い出とか積み重ねが表現されていて、ファンとして最高の言葉以外にない。しかし、これ以上の感動が113話にあるのを私は知っている。何故ならタイトルが明らかに対比されているからである。

 110話、111話で市川は山田に対して想いを伝えた。であるならば、全く同じ様なタイトルで対比される112話、113話は山田の告白があるはずなのである。

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僕の心のヤバイやつ 【2023年4月TVアニメ放送スタート!最新7巻発売中!】 | 桜井のりお | 試し読み・無料マンガサイトはマンガクロス (mangacross.jp)

 そして展開は予想通りに進む。修学旅行から帰ってきた市川は、オーディション終わりの山田から呼び出される。「いつもの場所」と知るされたそのメッセージに、市川は駆け足で向かう。

 山田が居なくても学校生活は楽しい。それでも山田には会いたい。自分の感情に素直になった市川が向かった先は学校の図書室である。お菓子を食べる山田と、読書する市川の関係が始まった最初の場所である。

 図書室に居る山田に市川はオーディションの出来を訊く。山田は不安ではあるものの、自分自身を認めている様である。そして、自分のことを認めれるようになったのは市川のお陰だと言う。

 市川がそうであったように、山田も同じなのだ。

 気が付いたら、自分自身も、自分を取り巻く全ても、全部が特別で、大切で、愛おしく思える。そして、それに気づかせてくれたのは、市川にとっては山田であり、山田にとっては市川なのだ。

 だから、山田も言葉にするのだ。

 大切な人だからこそ。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.113 より

 という訳で、めでたく全人類が待ち望んだ展開が来たわけだ。読者も予想していた。しかし、その予想に対して正面から渾身の豪速球を投げつけられた感じである。

 私としては、以前からこのブログ記事でも度々紹介している桜井のりお先生の、『僕ヤバ』という作品への想いも見えてきてダブルで号泣である。

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『僕の心のヤバイやつ』4巻あとがき より

 桜井のりお先生は、市川と山田を取り巻く人々や環境、過去など全てを愛おしいものにしたいと語っている。そしてそれらが愛おしいものだと気づくキッカケにお互いが成っていたのだ。

 そのような意味で、113話は読者が待望していた展開であると同時に、作者ののりお先生にとっても自分の想いを詰め込んだ渾身の話であったのだろう。

 そしてその想い通りに二人を取り巻く全てが愛おしいからこそ、我々読者も涙なしには最新113話を読めないのである。本当に感動した以外の言葉が出てこない。

 ただ物語は幕を閉じない。

 二人が付き合うという事は、祝福お化けの安堂カンナの存在であったり、これからの山田の女優としての道であったり、山田大好き香田ニコであったりと様々な障壁(?)も考えられる。今後も二人の歩みに注目したい。

主のイチオシシーン

 想いが通じ合った後のシーン。

 どうしていいか分からず、お互いに同じ動きをしてしまうのは、正しく「通じ合っている」証拠であると共に、可愛らしいのである。

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『僕の心のヤバイやつ』Karte.113 より

次回更新は

 『僕の心のヤバイやつ』は、マンガクロス | 秋田書店の新作漫画が無料で読める! (mangacross.jp)で隔週更新である。次回更新は2022年2月7日予定だ。