葉のブログ

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【感想と考察】『僕の心のヤバイやつ』Karte.95「僕らは反省した」【漫画】

 2022年4月19日にマンガクロス | 秋田書店の新作漫画が無料で読める! (mangacross.jp)『僕の心のヤバイやつ』最新95話「僕らは反省した」が更新されたので感想と考察を書いていこうと思います。

 前回の感想記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 もはや同棲してるやんけぇ!と叫びたくなるTwitterの告知で、最新話が楽しみで仕方ありませんでした。

 

 

Karte95「僕らは反省した」感想と考察

お泊り回の行方

 市川が目を覚ますとそこには歯を磨く山田の姿が。

 正しく同棲カップルの理想的ワンシーンだ。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.95 より

 歯を磨きながら山田は市川の名前の呼び方を思案する。

 最終的に「京太郎」に落ち着きかけたのは、意外と市川が名前そのままで呼ばれることが少ないからこその特別感があってのことだろう。

 

 結局、山田は広島での撮影のためすぐに帰ってしまう。

 「頑張れ」も言えず見送るこの距離感が、なんとも市川らしいのだ。

 

お花見スクランブル

 山田を見送った市川の元に届いたメッセージ。

 それは足立、神崎、太田の男友達からのお花見のお誘いだった。

 (ついに休み期間に男だけで遊べる友達が出来たことに感動だ)

 しかし、中学生のお花見と言えば、だいたい定番の場所は被るものだ。

 広島に行ってしまった山田を除いた、女子のイツメンに遭遇し、より一層賑やかになる。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.95 より

 

多分気づいている萌子さま

 本作において、「ヲタクにも優しいギャル」的立ち位置の関根萌子。

 実際は、誰にでも気遣いできるし、相手を思いやれるし、超良い奴。

 そんなのは読者の誰もが思っているだろう。

 普段は山田と市川の関係を知ったうえで、様子を気に掛けているのだが、その我らが萌子さまあから有り難いお言葉である。

 「付き合ってればね」


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.95 より

 そう、恋愛は自由なのだ。

 誰が何しようがその人の勝手なのだ。

 付き合ってればね。
 

 ここで注目したいのが萌子が座る位置だ。

 市川たちを見つけるや否やすぐに市川の隣に座るのだ。

 しかも風下

 桜の舞う方角から市川から萌子の方向に風が吹いていることが分かる。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.95 より

 前94話での山田がシャンプーをするシーン。

 市川家では左に女性用、右に男性用のシャンプーが並んでいることが分かる。

 そして、山田が手をつけるのは、右側の男用のシャンプーなのだ。

 (ボトルの色からも確定的だ)


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.94 より

 

 さて、市川家を出た後広島へ向かった山田であるが、1週間程度の滞在となれば、仲のいいバヤシコたちが見送りに来てもおかしくないのではないか?

 むしろ、バヤシコたちなら来るだろう。

 そして山田を広島に見送った後そのままお花見に来たなんてどうだろうか?

 

 ここまで妄想が多分に含まれたが、もしそうであるならば山田は萌子らと会っているのだ。改めて言い換えるなら、市川の匂いがする山田と萌子たちは会っているのだ。

 で、あるのならば、市川にすぐに近寄ることも、敢えて市川の心に刺さるような「ドン引き」発言をするのも頷ける。

 勿論、今までの様に会話の流れでなんとなく言ったことが市川にはタイムリー過ぎた可能性もあるが、萌子の目を見るに、敢えて市川に対して発言しているような気がしてならないのだ。

 

山田in広島

 たとえ距離が離れていても、当たり前のようにテレビ通話をする。

 もう二人の関係はそこまで進んでいるのだ。

 どうやら、山田はお母さんに怒られたようだ。

 下の章でも触れるが、その怒り方にもこの作品らしさが含まれていて、優しいのだ。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.95 より

 電話をする中で、市川は変わらなきゃいけないことがあると疑問に思う。

 その結論の前に、山田ママの登場により遮られてしまうが、この「変わらなきゃいけない」は今までも本作のテーマであったし、今後もそうなのだろう。

 二人の関係がどのように移ろうのか。

 目が離せないままだ。

 

この作品の一貫したスタンス

 この作品が描かれる中で常に伝わってくる桜井のりお先生の「市川、山田そしてそれを取り巻く人々や環境が愛おしいものに」というメッセージが今話にも表れていると思う。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.95 より

 先程上述した、市川の「変わらなきゃ」という疑問も、萌子の「付き合っていれば」発言も、今回は同様のメッセージの様に思える。

 つまるところ当人同士とは関係なく客観的な評価はつくのだ。

 

 他人からどう見られるかは本作で連載当初から変わらないテーマであると思う。

 殺人心理学という好みが他人からどう見られるかで恐れ、人との関わりを一度は断ったのが市川なのだ。

 山田関連で挙げるなら、山田と釣り合うにはとずっと考えているし、市川が交番の前で山田との二人乗りを避けることもあった。

 

 恋愛において「お泊り」はやはり一線を画す。

 だからこそ、客観的に見て「悪い」と言われるような状況は望ましくないのだ。

 それは勿論役者としてでもあるだろうし、それ以前に一人の中学生として。

 市川ママのお叱りは、山田への信頼が前面に出ている。

 市川ママも萌子も市川と山田が実際に付き合うとなったら、いろんな手助けをしてくれるのだろう。市川と山田の二人をちゃんと信頼しているからこその言葉。

 世間は必ずしも自分たちの様に良いようには見てくれない。

 本当に本作は登場する奴が良い奴しか居ないのだ。