2021年5月13日発売の「ヤングジャンプNo.24」で『【推しの子】』の最新43話「負けヒロイン」が掲載され、更新されています。前回の記事は以下のリンクから。新章が始まり、姫川の演技とそれに呼応するような重曹ちゃんの演技を見て、アクアは何を思うのか。今週もわくわくが止まりません。
最新4巻が2021年5月19日に発売予定です。来週なので要チェックです!
43話「負けヒロイン」感想と考察
アクアの陰キャムーブ
『【推しの子】』43話 より
新学期にアクアが学校で馴染めなかった光景が再び現れた。舞台稽古が始まって数日、アクアは彼女(仮)のあかねにも内心で憐れまれるほどしっかり孤立しているのである。 そんな馴染めないアクアは重曹ちゃんを観察しているようで、冷静にその演技を分析するのである。そしてあかねに対してハッキリと「大差で負ける」と断言する。
あかねと重曹ちゃんの対立構造を言葉で煽る一方で、自身は才能がある奴には勝てない、勝つ気はないと言うアクア。だが、今までを思い浮かべるとアクアの行動原理には常に他人が居るのである。そもそもアクアが演技をするのはアイの為であり、「今日あま」では重曹ちゃんの為である。
しかしその裏側にはアクア自身の感情があるはずである。つまり、アクアは自身の感情を誰か自身以外の何かに担保してもらう必要があるのだ。では、今回の舞台でアクアに本気の「演技」をさせる要因は何か。目に見えて考えられるのは姫川や重曹ちゃんの演技やそれに対抗しようとするあかねの姿だろうか。
あかねの解釈違い
解釈違い
インターネット環境の中のヲタクにおいて戦争の火種となるものの一つに「解釈違い」が挙げられる。様々な物語に触れ、人は様々な解釈をするであろう。その中にはそのコンテンツを楽しむための根幹となるような解釈が存在し、そしてそれが異なることはその物語を否定しようとするものと同義であり、戦争になるのである。
『【推しの子】』43話 より
重曹ちゃんが幼少期の経験から周囲のレベルに合わせて演技をするタイプである一方で、あかねは「今日あま」で見せたように自身の解釈を現実と違わないほど極限まで高めることで演技をするタイプである。
そして、その解釈は舞台という商業コンテンツの中では「物語」という言葉では収まりきらないような大人の事情が存在し、それがフラストレーションになるのである。
アクアたちの演技の起爆剤は?
原作の先生の表情と言葉から「東京ブレイド」の舞台に対して何かしら思っていることがあることが考えられる。解釈が合わないあかねと演技が乗らないアクアの二人が姫川らと対抗するためのカギとなるのは鮫島先生の一言になるかもしれない。アクアは「原作者のために」という言葉を自身の感情と行動の担保にし、あかねは自身の解釈により近づける可能性がある。
『【推しの子】』43話 より
今週の重曹ちゃん
横槍メンゴ先生の描く「目」ってキラキラしている印象があるんですが、ベタ塗りつぶしの重曹ちゃんも闇落ち感があって良いよね~。
『【推しの子】』43話 より