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【感想と考察】『【推しの子】』54話「対立軸」【漫画】

 2021年9月2日発売の「ヤングジャンプNo.40」で『【推しの子】』の最新54話「対立軸」が掲載され、更新されています。以前にも増してラブコメ要素?が増えてきた感のある本作に読者の皆様もあれやこれやと考えることでしょう。

 前回のあらすじなどは以下のリンクから確認をお願いします。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 先月、『【推しの子】』最新5巻が発売されています!今までとは違う禍々しさのある表紙が目印ですので要チェックです。

 

 因みにですが、以前『【推しの子】』の今後の展開について割と本気で考察した記事を書いていますので、今後の展開まで予想したい方は以下の記事をチェックしてください。また、この記事で書いてある考察などを前提にこの記事のように各週の感想記事も作成しています。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 

54話「対立軸」感想と考察

重曹ちゃんとあかねのレスバ

 喧嘩するほど仲が良い、という諺は誰もが耳にしたことがあるだろう。実際現実でもネット上でも、ある程度の関係を前提とし、ある程度分かりあえているからこそ悪い言葉を使うことがままある。

 「レスバ」とは「レスバトル」という言葉を省略したものであり、元々はインターネット上、SNS上での言葉のやり取りのことを言った。しかし、それが拡張され現実でのことも含まれているのだろう。このような「レスバ」を繰り広げているシーンも読者の目には『喧嘩するほど仲が良い』と映るのである。

 


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『【推しの子】』54話 より

 

 重曹ちゃん、お前レスバ上級者か??

 

 開幕1コマ目、タイトルコールも鳴りやまぬ状態で重曹ちゃんとあかねのレスバが始まった。「天才だと思い上がってる」と言葉をぶつけるあかねですが、重曹ちゃんは笑顔でそれを受け止め、カウンターを決める。

 姫川から聞いたという本に書かれていたのは、重曹ちゃんに憧れてあかねが演技を始めたという内容であった。これには当人のあかねは顔を赤くするしかない。そのまま言葉の殴り合いはヒートアップして行き、『ピーマン体操』『恋愛リアリティーショー』とお互いの急所に飛び火したところで、痛み分けで終わるところとなった。

 まぁ以前もアクアとレスバしていたが、本当に煽りあうときの重曹ちゃんの輝きっぷりにはニヤニヤしてしまう。


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『【推しの子】』54話 より

 

 この展開から垣間見えるのは、重曹ちゃんとあかねのライバル関係というものだろうか。実際に今までの記事で重曹ちゃんとあかねを対立的な構図で、敢えて対比して描かれていることには触れてきたが、それが漫画の中で実際に開設された感じであった。

 

重曹ちゃんの執着と想い

 ライバル関係という言葉を使ったが、その実「演技」に対する向き合い方も方向性も信仰するものも境遇も何もかも違う。重曹ちゃんはあかねの根底には「正しい」があると言う。

 

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『【推しの子】』54話 より

 

 この「正しさ」はあかねの初登場時からその節々で感じることができた。ディレクターに「どのような演技を求められているか」を尋ねたり、メムの「最近の視聴者が過激なものを求めている」というデータに耳を傾けたり、あかねの行動は全て「正しさ」が根底にある。これは演技に対しても同様のことが言える。あかねは演技をする際、その人物(キャラクター)の周辺情報を拾って並べて、そこから想像することが出来る「正しい」像を演じるのだろう。だからこそアクアが認めるほどの「アイの再現」も出来てしまったのである。

 しかし万人がそれに同様のことを思う訳ではない。本作一つ取っても私は重曹ちゃん推しであり、重曹ちゃんがアクアと結ばれることを信じて止まず、しかもそれが論理的であると割と本気でこの作品を読んで思っている。だが、SNSなどを見れば私と異なる宗教の人はいくらでも居る訳で。「好き」を棲み分けている内は平和でも、その「好き」を強要し、「好き」に正しさを見出そうとすると戦争が始まる訳である。

 つまるところ、あかねが「正しい」と信じて止まない演技を信じてしまうと、それは向き合い方の違う重曹ちゃん自身を否定してしまうことになる。「正しさ」とはそれ程に強い言葉なのだ。だからこそ、重曹ちゃんは自分と自分がやってきたことを信じるためにも、あかねに負けるわけにはいかないのである。


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『【推しの子】』54話 より

 

姫川の見立てとアクアの存在

 以前から言っているように姫川・重曹ちゃんとアクア・あかねの対立構造が本章のみどころであるところは間違いない。お互い演技が上手く、あかねは異質な演技を、重曹ちゃんは執着の強い演技をそれぞれが舞台上で演じる。しかし、姫川は自身の存在があることで、今回は重曹ちゃん側が勝つと言い放つ。

 現時点ではアクアが姫川の視野に入っていないことがこの発言から分かる。アクアもあかねと共に監督(こどおじ)の元で特訓しているようであるし、展開がどちらに転ぶかはまだ分からないと言ったところだろう。

 ちなみに、全体の展開としては最後の本番を迎えそうなコマで驚いた感じである。いろいろすっ飛ばしている感は否めないが、重曹ちゃんの出番が多いからまぁいいか。

 

重曹ちゃん推しとして気になったんだ

 二人を引き離す際にあかねの方はアクアが担当し、重曹ちゃんの方はメルトくんが担当している。勿論「ビジネス上の」カップルであるため、この構図が妥当であることは分かるが、全重曹ちゃん推しを(勝手に)代表して言わせてもらうと、ここで重曹ちゃんを引き離すのがアクアであるような展開が来ることを信じて止まないのだ。


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『【推しの子】』54話 より

 

重曹ちゃん転生者説(笑)

 今週のあるコマで重曹ちゃんが「スタッフ~」と叫んでいる。今はYoutubeでゲーム配信などを主にしている狩野英孝のネタだと記憶しているが、思わず「古くね?」と思ってしまった。

 もし物語開始時点のアイが生きていた頃を連載開始時期と被っていると仮定すると物語の時点では西暦2030年を過ぎていると考えることができ、その時点で今は昔の(して憂いな表現で申し訳ないですが)芸人のネタを発する重曹ちゃんは転生者なのでは?

 そして、重曹ちゃんが転生者なら前回ルビーが「お兄ちゃんはそんなことしない」的な発言をしていたこともクリアできてしまうなとネタながらも少し考えてしまいました。勿論、これは本気ではないですし、個人的には重曹ちゃんには「何も知らないからこそアクアを救える」という立場だと勝手に思っているので、忘れ去ってください(笑)

 

今週の重曹ちゃん

 「ビジネス上の」をつけないと絶対に許さない重曹ちゃん。どんな演技を見せてくれるのか、ヒロインとしてどんな活躍をしてくれるのか。いずれもこれからにまだまだ期待である。 


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『【推しの子】』54話 より