2025年2月5日にサンデーうぇぶりで『尾守つみきと奇日常。』最新52話「友孝くんと三学期。」が更新されたので感想と考察を書いていこうと思います。
更新を見逃しており、感想記事を書くのが大変遅れてしまいました。前回の感想記事はこちらから。
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52話「友孝くんと三学期。」感想と考察
長期休み終わりの憂鬱
誰しもが感じたことがあるだろう。学生であれば夏休み・冬休み明け。社会人であればゴールデンウイークや年末年始休み明け。なんとも日常に戻るのが憂鬱になる。
とりわけ学校生活や社会人生活が苦しいだけではない。仲の良い友達や同僚が居る場合も多い。それでも、その生活の暗い部分に目が行ってしまう。例えば、仲の良い友達や同僚との人付き合いでさえ疲れるものだ。
それは誰しもが持ちうる感情。
そして、友孝くんは中学校時代にその感情を抱え、始業式をズル休みしたことがある。特に一人の時間が好きな人にとって、学校生活や社会人生活は必ずしも心休まる場所とは言えない。むしろ煩いだろう。だから、そんな社会に戻ることにしんどさを覚えることは当然とも言える。
そして友孝くんはその経験を自身の中で「過去の大きな失敗」として記憶している。だからこそ、冬休み最終日に学校を訪れるという選択肢を取った。友孝くんの言葉を借りれば「シミュレーション」だ。
Ⓒ小学館 2024
森下みゆ『尾守つみきと奇日常。』52話
雷漸会長の準備
冬休みを一日早く終えて学校を訪れる同志に、雷漸会長が挙げられる。彼は三学期に開催される大きな会議に向けての準備で学校に来たようだ。時間を無駄にしない雷漸会長らしい行動だと言える。
友孝くんは雷漸会長の姿を見て、シミュレーションで学校に来た自分を恥じる。しかし、そんな友孝くんの姿も雷漸会長から見れば自らの意志で学校に訪れて行動的だと映る。本質的に雷漸会長と友孝くんの行動に違いはないはずだ。
つみきさんの準備
雷漸会長に加えてもう一人学校を訪れた人物がいる。それがつみきさんである。つみきさんはウェアウルフの習性で、大切なものを土に埋めることは今まで描かれてきた。つみきさんの準備は、その”埋め場所”を変更するということだ。
同じ場所に埋めておくと、埋め場所がバレて他の人に取られるかもしれない。友孝くん曰く、同級生はつみきさんの埋め場所を土の盛り具合で気づいているようだ。そのためつみきさんの杞憂ではあるのだが、大切なものなのだから仕方ない。
つみきさんは埋める場所にもこだわりの条件があるらしく、友孝くんはその場所を探し、土を掘るお手伝いをすることになる。
Ⓒ小学館 2024
森下みゆ『尾守つみきと奇日常。』52話
ここで重要なのは、つみきさんが友孝くんを一緒に埋める仲間として選んでいることだ。基本的に、埋めているのはつみきさんにとって大切なもの。そして埋め場所を変更する理由は、他の人にバレたくないから。
そんな中で、友孝くんは「埋め場所を知っていても盗まない人」と全幅の信頼を置かれていることが窺える。勿論、今に始まった描写ではないが、こういう部分が丁寧に描かれており、限りなく尊いのである。
主のイチオシシーン
友孝くんに笑いかけるつみきさん。
恐らく彼女自身は、彼女の存在が友孝くんの”学校生活への意識”に影響を与えているとは考えていない。ただし、その言葉通り、今まで後ろ向きに考えることが多かった友孝くんも前向きになっている。それはつみきさんの存在があってこそだ。
前回51話はつみきさん視点で友孝くんへの意識が変わったことが描かれていた。一方で、52話は友孝くん視点でつみきさんの存在感の大きさが描かれていた。
Ⓒ小学館 2024
森下みゆ『尾守つみきと奇日常。』52話