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【感想と考察】『その着せ替え人形は恋をする』9巻【漫画】

 2022年3月25日に『その着せ替え人形は恋をする』最新9巻が発売されました。

 アニメも大人気で大成功と言ったところでしょう。

 そんな『着せ恋』の最新巻がどのような展開になったのか、一緒に見ていきましょう。

 見ての通り、9巻の表紙は海夢のキス顔?です。ご褒美以外の何物でもない。

 

 前巻8巻、7巻の感想記事は以下から読めますので是非。

isoisogingin.hatenablog.com

isoisogingin.hatenablog.com

 

9巻感想と考察

コスプレにおける体形維持の大切さ

 9巻を全て読んだ上で端的にコメントするのであれば、「大きな展開やコスプレは無い」である。しかし、コスプレという文化に対して前8巻までとはまた違った切り口から描かれていると思う。

 前8巻までの感想記事を読んでもらえれば分かると思うが、『着せ恋』の主人公は五条であり、彼は「コスプレ衣装を制作する側」の立ち位置である。

 それ故、生地についてだったり、衣装の縫い方についてだったり、体形や顔の形を変えるメイクやコルセットの話であったりと豊富な知識が載っていた。

 9巻の前半は海夢の視点で物語が進む。

 そんな彼女が抱える問題が”体形の維持”だ。


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『その着せ替え人形は恋をする』 9巻

 美容室の人や仕事先の人に口を揃えて「太った」と言われる海夢。

 しかし、当の海夢にはその原因が分からないのである。

 学校の同級生からは言われれば少し太っているかも?くらいの感触であり、その道で仕事をしているプロの視線がいかに体形の維持に拘っているかが良く分かる。

 

 この太ったというありふれた問題。

 しかし、コスプレにおいては重要な問題なのだ。

 そう、衣装が入らないのである


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『その着せ替え人形は恋をする』 9巻

 このシーン、海夢のスタイルの良さが際立っている。

 しかし、衣装は入らない。

 五条が慣れないながらも頑張って海夢の身体を測ったことは今でも記憶に新しい。

 (1,2巻の話なので恐らくアニメのせい)

 その長さを基に作られた衣装たちは当然海夢の身体に合うように作られる。

 オーダーメイドという言葉の通り、海夢専用の衣装だ。

 ただ、忘れてはいけない。人間は成長するのである。

 縦ならまだしも横にも当然の様に。

 「計測した当時」の身体のサイズと今のサイズが必ずしも一致するとは限らない。しかし、その度に衣装を作り直してはお金がいくらあっても足りない。

 だから、コスプレにおいて”体形維持”は最重要な問題なのだ

 

 ちなみに贅肉の原因はあまりにも簡単に判明する。

 以前から食生活を五条に気を遣われている海夢。

 どうやら五条家で晩御飯を食べることは恒例となったようだ。

 しかも、海夢が普段は冷凍から揚げや冷凍チャーハンばかりを食べることから、バランスを考えて魚中心の和食にする五条の気遣いっぷりである。さらにさらに、余った晩御飯を弁当に詰め、朝ご飯として渡す徹底ぶり。

 五条、お前は良い嫁になれる。

 海夢はその貰ったお弁当を眺めながら、毎日帰宅する訳だ。

 手元には自分では作ることのない、美味しそうなご飯。

 しかも、ホカホカで今食べるのが一番おいしいとご飯が主張してくるのだ。

 だから海夢は思う訳である。


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『その着せ替え人形は恋をする』 9巻

 帰ったら食べる???

 冷静に考えてほしいが、海夢は晩御飯を食べに行ったのである。

 つまるところ、海夢は朝昼その他おやつ晩御飯①(五条家)晩御飯②(本来朝ご飯)という一日四~五食を当然の様に食べていたのだ。

 これには五条もビックリである。

 

ギャルの行動力

 海夢に呼び出された五条。

 どうやらルーズソックスを買ったので、写真を撮ってほしい様子。しかし、五条に渡されたカメラはスマホではなく、明らかに高価っぽいオーラを放っているのだ。


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『その着せ替え人形は恋をする』 9巻

 海夢曰く、レンズ2つセットのミラーレスカメラで合計8万ちょい。名前に入っている「M」が自身のイニシャルと同じで運命を感じたためポチったとの供述。

 ギャルの行動力!

 度々、五条が海夢の行動力に驚かされるシーンはあったが、今回はそんな五条もビックリ通り越して真っ青である。8万を運命で払える経済力と行動力がヤバすぎる。

 

 スマホカメラの性能の高さが叫ばれる時代ではあるが、カメラも負けてはいない。本格的な一眼からミラーレス、持ち運びに特化したコンデジと多種多様なものがある。

 私自身もコンデジを持っているが、やはり旅行に持っていくと、スマホで撮るよりも綺麗だし、写真を撮ろうというモチベも高くなるし、旅行が楽しくなるので愛用している。

 私が持っているのは上に貼った、Canonのコンデジである。このコンデジでも5万オーバーする。それを考えると海夢が2レンズつきのミラーレスを8万ちょいで購入したというのは私としては「セールで買ったな!」などとツッコミたくなる笑

 まぁ余計な話はここら辺にして。

 公園で、可愛いギャル彼女を撮る彼氏にしか見えんのですよ。

 ただただ可愛い海夢とカメラの性能に感嘆する五条。

 ここの描写も最高ですね。


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『その着せ替え人形は恋をする』 9巻

 

 ちなみに、この後、海夢は五条のおじいちゃんの写真を撮りに行く。一見すれば海夢が五条のおじいちゃんを本当のおじいちゃんのように良く思っていることを表すシーンであるのだが、私には若干不幸の前触れの様にも映ってしまった。

 今後おじいちゃんが倒れたりしないことを祈るのみ。

 

コスプレ会場での出会い

 コスプレは何も衣装だけではない。

 キャラクターの中にはフィクションに寄っているものもあるが、そんなフィクションをどう演じるかがコスプレの醍醐味でもあると言える。

 今までも尖った歯や耳、羽根など試行錯誤したが、五条は刀のような造形をしている「アキラ」さんと連絡を取り始めたとのこと。

 淡々と作業過程を記録するその姿に尊敬すら感じているようだ。

 同じコスプレイベントで五条はアキラさんと、海夢は涼香さんあまねさんたちコスプレ仲間とそれぞれ待ち合わせをすることに。

 

 しかし、五条の前に現れたのは……


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『その着せ替え人形は恋をする』 9巻

 どうやらお互いに相手を同性だと勘違いするミスを犯したようだ。

 確かに剣などを作成する「アキラ」は男性に見えるかもしれないし、コスプレ衣装作りが好きな「ワカナ」は女性に見えるかもしれない。

 話していくうちに自身の造形を卑下する旭さんに五条はそんなことないと褒める。

 この時、五条は旭さんをどこかで見たことがあると感じるのだ。

 この点については後ほど触れていく。

 

 一方その頃、海夢はコスプレイベントを堪能していた。

 カメラで写真を一枚撮るにしても足を長く見せるアングルだとか、写真撮影の際の「列切り」という文化だとか、読んでいてもタメになるのだ。

 
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『その着せ替え人形は恋をする』 9巻

 

 流れで涼香さんとその友達、あまねさんと海夢五条でアフターすることに。

 そこで涼香さんの友達が旭さんだということが判明する。

 

次回のコスプレは?

 カラオケでアフターする中で、来週末の涼香さんたちのコスプレ合わせが人数が足りていないという話になる。

 今回のコスプレは『棺』という推理もののホラーゲームが題材であるそうだ。協会に暮らすシスターが順々に〇されていく殺人推理ものらしい。

 そこであまねさん(くん)が立候補し、海夢も誘う。

 海夢は五条に衣装を作ってもらえないこと、ダイエット中であることなどで迷うが、五条の良いと思うという一言に後押しされて参加することが決定。

 その勢いで最後の一人として海夢が誘うのは、かつて一緒にコスプレをしたジュジュ様。(圧倒的強者感)


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『その着せ替え人形は恋をする』 9巻

 どうやら、次は『棺』コスプレ合わせ。

 それもかなり大人数になりそうだ。

 

旭さんの挙動を考察

 さて、最後に最新巻で疑問に残る「旭さんの挙動」に注目する。

 カラオケ会場でも、あまねさん(くん)がその様子に疑問をもつシーンがある。


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『その着せ替え人形は恋をする』 9巻

 今回の旭さんの挙動を考察する上で68話~71話で注目したのは以下の項目である。

①五条と話す際はいたって普通である。

②海夢たちと合流してから挙動がおかしくなる。

③旭さんは涼香さんたちと友達であり、本人もコスプレをする。

④五条はどこかで旭さんを見たことがある。

⑤涼香さんたちは訳を知っているような素振りをしている。

 順を追って考えていこう。

五条と話す際はいたって普通である

 最初、女性だと思っていたのに女性では無かったという衝撃はあったものの、五条とは普通に話している。自身のことを卑下しているものの、全く喋らない訳ではない。

海夢たちと合流してから挙動がおかしくなる

 五条と話している際は普通であったのに、合流してアフターに行くことになってからおかしくなった。また、涼香さんたちは友達であるから、何の影響もないだろう。

 そう考えると、あまねさん、海夢のどちらかがその原因であると考える。

旭さんは涼香さんたちと友達であり、本人もコスプレをする

 鈴香さんの会話の中で、合わせをするという部分から旭さんは造形だけでなく、自身でコスプレをすることも考えられる。

五条はどこかで旭さんを見たことがある

 実は過去に涼香さんのコスプレ友達が五条たちの前に現れたことが一度だけある。

 46話で「ルナ社長」のコスプレをしている人物だ。

 涼香さんの写真の中で背景が良いものを参考に場所選びをした。その際被写体となっている人物を五条が見たことがあるはずなのだ。


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『その着せ替え人形は恋をする』 6巻

 海夢が「カッコいい」と評しているが、その形容詞も旭さんを表すのにピッタリではないだろうか?

涼香さんたちは訳を知っているような素振りをしている

 そして、あまねさん(くん)が参加を立候補した時は普通に飲み物を啜っているのに、あまねさん(くん)が海夢にも参加を促すと旭さんも反応している。

 それだけではなく、涼香さんたちも固まっているのが分かる。


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『その着せ替え人形は恋をする』 9巻

 つまり、旭さんが挙動不審な原因は海夢にあると言っていいだろう。

旭さんが挙動不審な理由は?

 以上を踏まえて、旭さんが挙動不審な理由を考察する。

 恐らく、旭さんは「ルナ社長」のコスプレをしていた人物であろう。

 しかし、それは挙動不審な理由とはあまり関係しない。

 この『着せ恋』という物語は、決して重くならないテイストだ。あくまでギャグ寄りであり、キャラの成長などあれどシリアスと言える場面はほとんどない。

 であるならば、挙動不審な理由も笑えるものだろう。

 現状挙げられる根拠だけで私が結論付けるなら、それはヲタクの誰しもが共感できるであろうものになる。

 つまり、旭さんは海夢が推しなのだ。

 「ルナ社長」が旭さんであるならば、五条と海夢は以前から旭さんを知っていたと言える。しかし、それは逆にも同じことが言えるのだ。涼香さんがコスプレ仲間に海夢のことを話して、写真を見せてもなんらおかしくはない。

 そんな中で、「この子可愛すぎる! 好き!」となることだってあるだろう。

 だから、旭さんは海夢と話すに話せない(ヲタク特有の緊張感)

 それを知っている涼香さんたちは「あちゃー」という表情だ。

 

 細部は間違っているかもしれないが、旭さんが挙動不審な理由はこれくらい軽い理由であろうと思う。

 

今回のイチオシシーン

 五条と海夢は一緒に晩御飯を食べることが当たり前になっている。

 皿を洗う海夢に対して駅まで送ることを提案する五条。

 もはや、通い妻やん

 9巻も全体を通してニヤニヤしていたが、ここはイチオシである。


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『その着せ替え人形は恋をする』 9巻