2022年9月24日に『その着せ替え人形は恋をする』最新10巻が発売されました。
10巻は良いシーンが多すぎる~!
アニメ2期も決定!
益々波に乗る本作に目が離せません。
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— TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』 (@kisekoi_anime) 2022年9月17日
TVアニメ
「その着せ替え人形は恋をする」
続編制作決定🎊
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恋(コスプレ)は変える。姿も、心も。
今度とも応援のほどよろしくお願いいたします!https://t.co/0URTXvfQdE#着せ恋 pic.twitter.com/0W8mh6z25l
前9巻、8巻の感想記事は以下からご覧ください。
10巻感想と考察
【考察】9巻から残っている考察部分
10巻の考察をするにあたって、9巻から継続して存在する謎がある。最新10巻について考える前におさらいしておきたい。
端的に言うと「旭の挙動不審」である。
9巻で登場した、コスプレに関する小道具を制作しているという旭。所々で挙動不審な素振りを見せるため、その行動の裏にある感情を考察した。
上記考察記事では以下の順で考えた。
①五条と話す際はいたって普通である。
②海夢たちと合流してから挙動がおかしくなる。
③旭さんは涼香さんたちと友達であり、本人もコスプレをする。
④五条はどこかで旭さんを見たことがある。
⑤涼香さんたちは訳を知っているような素振りをしている。
これらの要因から考えられる原因は、旭は海夢推しであるということだ。嫌いではない。好きすぎるが故の、挙動不審。ヲタクあるあるである。
この考察の正否が判明するかもしれない。
それでは10巻の感想と考察を書いていく。
『棺』合わせ
ホラーゲーム『棺』のコスプレを皆ですることになった海夢達。人数が足りないため、海夢はジュジュに声をかけた。
最初は断るジュジュであるが、妹である心寿が『棺』コスプレを見たいということで結果としては参加することになる。
(シスコン兼ツンデレの代表のような行動)
一週間後という制約上、五条が海夢の衣装を作ることはない。しかし、それでも大きなコスプレ機会であることは間違いない。その方向性は決定した。
『その着せ替え人形は恋をする』72話 より
急遽訪れる「お泊り回」
『着せ恋』ではお馴染みとなった、五条がコスプレ作品をやりこみ、海夢が教える展開。実質お家デートである。
当然の如く10巻でもお家デート。
ホラーゲーム『棺』を二人で実践する訳だ。
しかし、本巻は今までとは一味違う。なんと事故によって、帰りの電車が運転見合わせの状態となる。つまり強制的な「お泊りイベント」の到来である。
『その着せ替え人形は恋をする』74話 より
海夢の家への宿泊に最初は渋る五条であるが、海夢に押される形で泊まることになる。
当然五条にとっては頭の痛い問題だ。
海夢は可愛い。その事実は五条の中でも真である。そんな海夢と二人で夜を過ごす。そのためには揺らがない強固な理性が必要なのだ。
五条が理性を保とうとすると目が据わる。
そんな五条は必死に思考を巡らせてある結論に至るのだ。そう、寝なければ問題ないのではないか、と。
そのためにエナジードリンク(あのロゴは恐らくモ〇スター)を据わった目で吟味する。しかし、傍からそれを眺める海夢には全く異なる風景が見えるのだ。そこに居るのは、真剣な眼差しで男のアレを増強させる飲み物を選んでいる五条である。
(ここでまさかのアンジャッシュ)
万が一にも間違いが無いように寝ないつもりの五条。一方で、五条にその間違いの覚悟があると誤解する海夢。その後の顛末は、空回りする海夢の視点で語られる。
お風呂という言葉に過剰反応し、下着の色で長考する。緊張も相まって海夢は爆発し、結果として五条が海夢に覆いかぶさる形となる。(完全に致す前の体勢で草)
落ち着くために何か食べることを提案する海夢。構図とか会話とか全てが恋人のそれ。てぇてぇが止まらん。
『その着せ替え人形は恋をする』75話 より
最終的には、安心した海夢が先に寝てしまい、五条は夜通し一人でホラーゲームをプレイすることになる。どうやらカニバリズムものらしく、結構グロかったらしい。
海夢の片想い
五条としては何事もなく終えた夜。
しかし、海夢としては、何事もなく終えてしまった夜である。下着の色まで揃えて、二人きりで家に泊まって何もなかった。海夢曰く「付き合えると思ってたし」。
緊張で空回りしていたものの、五条が嫌いな訳ではない。だからこそ、今回の一件は海夢にとっては「片想い」を意識させられる出来事であった。
海夢は五条のことが好き。その気持ちは揺らがないとしても、五条は海夢のことを「恋愛対象」として意識している訳ではない。
その衝撃は、海夢の食欲に影響する。図らずともダイエットが成功しそうなほど、食欲が無くなってしまう海夢。更に、乃羽との会話で友達と恋人の線引きについて話し、海夢の思考はフラれる方向へと広がっていく。
端的に言って「病み期」である。
そもそも五条は女性に対して免疫がない。
特に海夢は距離感が近いタイプであり、そのため五条は過剰な反応を見せる。しかし、海夢にはそれが「拒絶」に映る。既に避けられているのであれば、フラれる。
悪い妄想を巡らせて涙するほどには海夢は五条のことが好きなのだ。
『その着せ替え人形は恋をする』76話 より
そして海夢は、五条がアジフライを作ってくれたり、帰り道で送ってくれたりと一挙手一投足に「好き」が止まらない。この感情は「ダメだったら次」で済むような軽いものではない。
だからこそ、海夢は決意するのだ。
悩んだって仕方がない。まずは告白する。
『その着せ替え人形は恋をする』77話 より
【考察】五条の感情は?
海夢は五条のことが恋愛感情として好き。
では、五条はどうか。
結論から言うのであれば、明確な恋愛感情は抱いていないが好意はあると予想される。その根拠となり得るものを探す。
『着せ恋』は展開構成としても上手くできていると私は思う。(誰目線か分からない早口失礼)
例えば、3巻23話で五条と海夢が海に出かけるシーン。夏休みに二人で出かける約束を取り付けた海夢はこっそりと五条の写真を撮る。写真のフィルター越しに映る五条に海夢は思わず顔を赤くする。
『その着せ替え人形は恋をする』23話 より
一方で立ち位置だけを逆にした構図が9巻67話で存在する。海夢が購入したミラーレスカメラの試し撮りをするシーンである。カメラのレンズ越しに見える海夢の無邪気な笑顔に五条は顔を赤くする。(海夢がキスのフリをしたのも原因ではある)
『その着せ替え人形は恋をする』67話 より
では、海夢が五条を好きになったのはどこか考える。明確に描写されているのは、最初の雫コスプレ後に五条が発した「綺麗」という言葉であろう。本心から思った時にしか言わないと明言する五条から海夢に向けて放たれた。その言葉に海夢の心は動かされた。
では、五条の方はどうか。同様の構図で観るのであれば、全く同じような展開は存在していない。五条のことを否定せず信じる海夢の言葉に五条が自信つけられていることは確かである、しかし、恋愛感情では無いと言える。
10巻78話でも、五条が海夢のことを大切に思っていることは描写されている。
『その着せ替え人形は恋をする』78話 より
海夢も五条も真っすぐ純粋な人物であることは今まで描かれてきている。だから、五条が海夢の言葉を切り捨てるようなことは無いのだろう。しかし、現在即答で「恋愛感情として好き」と判断できるような状態ではない。なぜなら前提として五条は恋愛経験が無く、恋愛感情の定義が為されていない。
結論として、海夢が告白したら、五条は真剣に考えるのだろう。もしかしたら、返答までに期間が空くかもしれない。一時的に気まずくなるかもしれない。それでも、五条は海夢と真剣に向き合ってくれるだろう。
つまり、『棺』合わせ後に予定される海夢の告白こそが、「五条に海夢の感情を意識させる」という点で、五条の綺麗発言と対比される展開になるのではないか。それを期に、五条も海夢のことを恋愛対象として考えるのでは無いか。
真剣にコスプレに全力な海夢のために全力で応援する五条。その関係を変化させるために「言葉」は必要不可欠であると考える。
だから、明確な恋愛感情は抱いていないが好意はある、が今の五条の状態である。近々行われるであろう告白を通じて、二人の感情を受け止め合う。願わくば、結ばれてほしい。
ジュジュのコスプレ
さて、海夢が病んでいる一方で、もう一人悩む存在が居た。
それがジュジュである。好きなキャラクターだからこそ、イメージに合わない自分はコスプレをしない。ヲタク然とした強い覚悟でコスプレに臨むジュジュ。
その覚悟は称賛に値する。
両手で拍手である。
しかし、勿体ないのだ。自分以外の存在になれることがコスプレにおける究極のアイデンティティ。それなのに、自分とは離れたキャラクターのコスプレはしない。本来は、自分とは違うからこそ、コスプレを楽しむものなのではないか。
そしてジュジュにとってそのポイントは、身長、童顔、胸囲の3つが挙げられるらしい。これらを解決する道具はコスプレ界隈にはお馴染みらしい。シリコンブラやメイクの工夫を通して自分とは別の存在になっていく。
自分は似てないからコスプレをしてはいけない。
そんなルールは存在しない。似ていないのが気に入らないのなら、似るように徹底的に工夫をすれば良い。様は捉え方次第である。
海夢のコスプレ姿に憧れるだけではない。
ジュジュ自身もブラックロベリアを纏う。
『その着せ替え人形は恋をする』79話 より
【考察】旭の挙動不審
さて、本記事冒頭で触れた9巻から残っているポイント。旭の挙動不審については触れられたシーンがあったものの明確な結論は出ていない。
カラオケであまねが旭に問いかける。
(そして偶然居合わせる五条)
その答えは「一緒に居たくない」。
『その着せ替え人形は恋をする』78話 より
しかし、その後何事もなかったように解散し、更には旭と五条は後日一緒にコスプレ道具制作をしている。その様子を見るに、そこまで悪い理由ではないのではないかと予想される。
実際、旭も「嫌い」という言葉は用いていない。
近くにいたくない、一緒に居たくないという言葉を用いている。そして、旭自身もヲタクであり、「ルナ社長」のコスプレをしていたと明かされた。
(ここは考察当たりでした!)
一緒に居たくないというのは、推しとの距離感を大切にするヲタク特有の思考ではないかと思う。であるならば、やはり旭は海夢のコスプレが好きで、海夢推しであるために近くに居ると挙動不審になる、という考察はあながち間違ってはいないのではないだろうか。
10巻で明確な答えは出なかったため、今後も注目して読みたい。
今回のイチオシシーン
11巻は良すぎるシーンが多すぎた。
その中で敢えて選ぶのであれば、75話の海夢が寝てしまったシーンである。
目を覚ました海夢は「何もされていなかった」ことにショックを受けていた。しかし逆に考えてほしいのだ。海夢が寝落ちした場所はリビングなのだ。つまり、五条がお姫様抱っこで(担ぎ方は任意の妄想による)寝室まで運んだのであろう。
ベットに運ぶだけ運んで何もなかったというのはあるが、むしろ五条らしいと言える。しっかりと寝室に運んだ部分で妄想が捗ったので今回のイチオシとして選ばさせていただきました。
『その着せ替え人形は恋をする』78話 より