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【感想と考察】『その着せ替え人形は恋をする』7巻【漫画】

 2021年4月24日に『その着せ替え人形は恋をする』最新7巻が発売されました。アニメ化も決定し波に乗っている本作品の感想と考察を書いていきたいと思います!

 何はともあれアニメ化は嬉しんだぁ~

 アニメ化おめでとうございます!!!!!

 

 前6巻の記事は以下のリンクより読むことができます。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 また、次の8巻の記事は以下のリンクより読むことができます。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 

 

7巻感想と考察

二人の関係に名前を付けるなら

  前巻最後、海夢の友達とハロウィンコスからカラオケに行くことになった五条であるが、乃羽ちゃんが「二人は付き合っているのか」という爆弾を投げて終わった。そして、最新7巻ではこの疑問が大きな1つのテーマになっていると言えるので本記事の最初であるこの場で改めて触れさせていただいた。

 乃羽ちゃんの疑問に対する答えは、五条の素早い否定によって示された。しかし、その一方で海夢の方は即否定されたことで凹んでしまう。そんなに自分のことが嫌いかと落ち込む海夢であるが、最終的には知り合いの美容師と海夢が喋っていたところを五条が無理やりナンパされていると勘違いし、助けようとしたことで再び気持ちを確認して解決したのである。五条の鈍感さによって気づかれなかったが、海夢がキスまでしたのは、一つ大きな進歩であると言える。


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『その着せ替え人形は恋をする』48話 より

 

 つまるところ、二人の関係性は二人の中ではまだ「友達」という言葉に集約されるのだろう。海夢が五条に対して恋愛感情を抱いているのは今までの描写で明らかであるが、その一方で五条は海夢に対して恋愛感情を持っていはいないと思う。

 では、なぜ五条は海夢のことをあくまで「友達」と見なすのか。それは、五条が海夢のことを自分より高い位置の人物、対等ではない人物と認識しているからである。五条自身が、昔「のんちゃん」から気持ち悪いと言われたことなどがトラウマとなり、自分とは世界の違う人だという認識であったことは本作1話の頃から示されている。何着も一緒にコスプレ衣装づくりをして、時間と共にして、様々な一面を知っても、五条の中ではどこか「住む世界が違う人」という認識がある。この認識がどのように変化していくかは今後も注目だ。


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『その着せ替え人形は恋をする』1話 より

 

"モデル"の海夢 

 モデルの仕事現場に招待された五条。読モの中には現場に彼氏を連れてくる人も結構居るという情報がどこまで真実なのかは知らないが、実際の季節より早く撮影することなど、新しい世界を知った気分だ。そんな読者の私と同様に、五条もモデルの仕事をしている海夢を直接見るのは初めてであった。そして、その場にいたのは、五条の知らない海夢であるのだ。


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『その着せ替え人形は恋をする』50話 より

 

 皆が憧れ、いい意味で近寄りがたい、読者受けの良いモデル。現場の誰もが認める海夢の姿は改めて五条に「海夢は華やかな世界に居る」と自身と断絶しているような感覚を覚えるのである。

 しかし、一方で現場のスタッフからは彼氏と認識されていることにも注目せねばならない。学校での周囲の友達が二人の関係を知りたがったり、スタッフに彼氏と認識されたりと客観的に見れば「恋人」の関係であるのに主観の中にはどこか溝がある。この差がどのようにして埋まっていくのか。モデルの仕事を終えた後に、「雫たん」の誕生日会という狂気の一面を見ることが出来るあたり、五条が海夢の一番近くで様々な一面を見ているのは明らかであり、それにいつ気づくかといったところであろうか。

 

文化祭と五条の成長

 文化祭で「ロシアンたこ焼き」なるものをすることになった1年5組の面々であるが、それと同時にクラスから代表を出すミスコンにも期待がかかる状態となった。クラスの大勢が海夢を推薦したことにより、海夢が出場することになった一方で、その衣装をつくるのは五条の役目となった。ちなみに、ミスコンは男装限定らしく今回のコスプレ衣装は『生ホス』という作品の麗様というホストの衣装になったようである。

 クラスの出し物の内装と海夢の衣装を掛け持ちして時間が無いと焦る五条に対してクラスの面々は「内装はやらなくていい」と言い放つ。しかし、この言葉は拒絶ではなく、五条の能力を考えた上での信頼に基づくものであるのだ。今までどこかクラスに馴染めていなかった、クラスの人たちを「自分とは違う世界の人」と見てきた五条は、海夢の衣装づくりをクラスから任されたことに対して大きく「頑張る!」と答える。ここで、五条のクラスメイトへの視点や認識が少し変わったことは間違いないだろう。


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『その着せ替え人形は恋をする』53話 より

 

お弁当事件

 さて、海夢が風邪を引いた時に早退してまで海夢の看病をした五条であるが、その際におかゆを作って食べさせている。また、以前からも料理が上手い描写は多く、実際に普段も五条がご飯を作って、その場に海夢が居合わせることも多々である。

 文化祭準備で「何か役に立ちたい」と考えた海夢が行きついた先が、昼休みに作業しやすいように五条のためにお弁当を作ることであった。五条は海夢の冷凍食品とウインナーと炒飯のカオス料理を思い浮かべ、一体全体どのようなものが生み出されたのかと緊張するが出てきたのはスパムを詰めたおにぎりであった。そのまともな見た目に五条は海夢をベタ褒めするのだが、それで喜んだ海夢は米ギチギチのおにぎりや冷凍食品のから揚げギチギチなど食品もさることながら量で圧倒する昼食を提供し続け、肉を見たくなくなった五条の晩御飯は魚料理が続くこととなった。


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『その着せ替え人形は恋をする』54話 より

 

乃羽ちゃんに対する考察

 結論から言うと、「乃羽=のんちゃん」はまだ確定したとは言えなかった。以前の記事で容姿が似ていること、五条を気にしている描写があることを挙げた。7巻でもクラスの絡みが増えたことから乃羽ちゃんと五条が絡むシーンも増えたように感じ、また所々で五条をクラスに馴染ませるような言い回しや行動をしているように思える。また、五条自身も少しずつ人間関係や自身の世界をアップデートしているとは言え、恐らく自身の中に過去に「のんちゃんから言われた言葉」が大きいのは所々で窺える。


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『その着せ替え人形は恋をする』55話 より

 「のんちゃん=乃羽ちゃん」を確定とするなら、乃羽ちゃんと五条が同じクラスに居る以上、元々顔しか知らない仲だったか、苗字が変わっているかなどが考えられる。しかし、重要なのはそこではなく、「のんちゃん」が五条に対して気に掛けるような素振りがあるのなら、五条の行動次第で過去の清算が可能であるということだ。後に改めて記述するが、過去を清算することができるなら、五条の価値観は変更され、海夢への恋愛感情に繋がる可能性もあるのではないだろうか。

 

二人の関係性に対する考察

 さて、何かと前回から気にしていた「クラスバレ」であるが、友達も「むしろ付き合っちゃえよ」という五条のことを認めているような雰囲気であることが分かった。また文化祭でも五条が海夢の衣装を作ることをクラスが任せる形になり、ミスコンが成功すれば五条はより客観的に認められた立場になると言えるだろう。

 しかし、主観としては違うのであろう。主に五条の方が、「僕なんかが」と自身を卑下するような描写が多々見られ、海夢を異性として認識しないようにしているようにすら感じる。この認識の変化こそが海夢の想いが通じる大前提である。そこで必要とされるのは海夢の様々な一面をより知って距離を縮めるのは勿論であるが、五条自身が自信を持ってポジティブに捉える必要がある。

 そこで、自信を得ることとして、①周りから認められること、と②自信を持てない原因を取り除くこと、が考えられる。①は文化祭の流れから恐らく五条がクラスの中で認められる立場になり自信を得るキッカケとなるだろう。しかし、その一方で原因を取り除かなくては、その原因が何時まで経ってもその自信を得ることを阻むのである。だからこそ、近々「のんちゃんの過去を清算する」ことで自信を持ち、またそこまでの成長のキッカケを与えてくれた海夢に対しての特別な感情に気づくのではないだろうか。

 学校に仮病を使ってまで心配する。五条の中にも海夢に対する何かしらの感情が無い訳ではないと思うのだ。

 

今回のイチオシシーン

 ちな「雫たん」の誕生日会の描写、狂気すぎんか???

 抱き枕に『本日の主役』がついていることも、五条と海夢が「雫たん」のお面をしていることも。愛が溢れすぎて、狂気になるヲタクらしい描写が最高すぎた。


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『その着せ替え人形は恋をする』50話 より

 

 次8巻の感想記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com