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【感想と考察】『正反対な君と僕』タイラズマを全力ですこれ【漫画】

 本記事では阿賀沢紅茶先生の『正反対な君と僕』という作品に対して、全力で勧めさせて頂きたい。『正反対な君と僕』は隔週月曜日で少年ジャンプ+|人気オリジナル連載が全話無料!の最強WEBマンガ誌 (shonenjumpplus.com)で更新される。無料で読めるので是非とも読んでほしい。

 単行本の方は2023年3月現在で3巻まで発売されている。ジャンプラの人気作であることは間違いないので、今後も巻数が出ることは予想が難しくない。

 

阿賀沢紅茶先生とは

 まずはこれから記事を書いていく『正反対な君と僕』の作者である阿賀沢紅茶大先生の紹介からしたい。阿賀沢紅茶(@agasawa_tea)さん / Twitter

 2022年の春頃からジャンプ+で『正反対な君と僕』を連載。その前には『氷の城壁』という作品をインディーズで掲載していた(後にLINEマンガ等に掲載)。詳細は追いきれていないが、大体このような認識で相違ないと思う。

 作品の特徴としては、人の心情や距離感の機微な動きを捉えるのが上手い。だから、まずはそれが見事に表現されている『氷の城壁』を紹介させてほしい。

前作『氷の城壁』も神作です

 本記事は『正反対な君と僕』を語るものである。

 この項は完全に余談ではあるので、読み飛ばしてもらっても構わない。

 『氷の城壁』は高校生である、4人の男女(こゆん、ミナト、美姫、よーた)の思春期特有の人間関係や距離感を描いた学園ストーリーだ。

 表面に見えているものだけが、その人の本質ではない。誰しもが悩みを抱えながら生きている。そんな人間としてのあるあるを上手に描いている。

 『氷の城壁』については以下に情報がまとまっている。

 「氷の城壁」情報まとめ lit.link(リットリンク)

 現在は単行本などの予定はない様だ。アプリ等のための縦読みでの漫画の為、本にするとなると大変な作業が発生してしまうのが原因かもしれない。ただ、単行本の予定は無いかと問い合わせは来るようで笑。ファンの方は気長に待とう。

「氷の城壁」情報まとめ lit.link(リットリンク) より

『正反対な君と僕』あらすじ

 『正反対な君と僕』はエネルギッシュで誰とも仲良しなギャルの鈴木と寡黙な少年谷の恋愛模様を描いた学園ラブコメである。

 鈴木は誰とでも仲良くできる一方で、その「周りに合わせる感」に疲れを感じ、谷の寡黙でありながら筋の通った姿に憧れる。一方で、谷も鈴木の活発的で中心的なその姿に魅かれる訳なのだ。

 そんな雰囲気の幸せ感満載ラブコメである。

登場するCPが良すぎる

 そんな青春と若さが眩しいながらも、人の心の動きで温かくなれる漫画『正反対な君と僕』。この漫画には上段で紹介した鈴木と谷以外にも、恋愛の波動を感じる組み合わせがある。

 私はCP厨(カップル厨)なので、良い!という恋愛の波動を感じるとそこをくっつけたくなるのだ。そこで今回はおススメのカップルを紹介しつつタイトルにもある通り、皆さんにも「タイラズマ」の良さを感じて頂きたい。

鈴木×谷

 何を隠そう今から紹介する組み合わせでカップルは鈴木と谷のこの組み合わせだけである。何という事だ。

 そして紛れもなく本作の主人公ではある。

 鈴木は、誰とでも仲良く合わせらあれる一方でその空気感を合わせることに疲れる瞬間がある。そのため、谷の持つ「芯の強さ」が眩しく見える。

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『正反対な君と僕』1話 より

 一方で谷は細かいことが気になる、考えすぎてしまうタイプ。そのため誰とでも簡単に打ち解けてしまう鈴木のことが眩しく見える。

 そんな互いにリスペクトを持ったカップル。

 そして何を隠そう現時点(26話時点)では、物語上唯一のカップルでもある。正式に付き合っているのは鈴木と谷だけなのだ。後述する山田と西さん、平と東などはまだ付き合っておらず、今後そのような展開が来るのではという私の偏見ありきの紹介である。

 そんな二人を一言で表すなら「初体験」

 お互いに恋愛経験は豊富ではない。また、性格も似ているとは言えない。勿論そこにお互いが惹かれたわけでもある。基本は鈴木がグイグイ引っ張って、谷がそれについていく。

 しかし、二人とも何をしても初めてなのだ。だから、引っ張る鈴木も迷走するし、ついていく谷も何も分からない。そんな初心な二人が送るラブコメから目を離さないで欲しい。

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『正反対な君と僕』3話 より

山田×西さん

 続いて2組目は、山田と西さんである。

 山田は今まで付き合った経験はあるものの、自身から始まった恋愛感情は成就したことがない人間。そんな山田は、実は大人しいのに笑ってくれるようなギャップに惹かれる。

 そして、その山田にドストライクなのが西さんである。

 基本的に大人しい性格ではあるものの、笑いのツボは浅い。ただ、本人はそれ以上に自分を卑下するタイプであり、会話や人間関係も周りを見すぎて考えすぎて失敗するタイプである。

 そんな二人は山田のアプローチから始まる。

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『正反対な君と僕』10話 より

 基本裏表が無く、それ故にグイグイアプローチをかける山田。一方で恋愛どころか普段の人間関係から苦手意識のある西さん。そんな二人が、学園祭などのイベントやメッセージを通じて少しずつ仲が良くなっていく姿を見届けてほしい。

平×東

 最後に3組目、平と東。

 そして、この組み合わせこそが、本記事タイトルにもある「タイラズマ」だ。「タイラズマ」という呼び方の発祥は鈴木である。「Taira」と「Azuma」という様にローマ字表記して読む際に、「Taira」の「a」と「Azuma」の「A」をくっつけて呼んでいる。

 英語の授業で発音を指摘される中高生ならではのあだ名のつけ方である。こういう部分でも「年相応の中高生らしさ」が窺えるのは本作の良さであろう。

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『正反対な君と僕』4話 より

 因みにこの二人は同じ中学校出身である。東の方は中学校の時から、主に恋愛方面の人間関係に苦労する。一方で、平はクラスのカースト下位にいる自分が嫌で、地元の中学校から離れることで高校デビューを果たす。

 そんな二人の良さは次の章で語らせて欲しい。

タイラヅマを全力ですこれ

恋愛ではない

 まず大前提として、この二人の関係は恋愛ではない。詳細に言うならば恋愛にはなっていないが、発展する可能性がある。そこで語らせてほしいのだ。

 上述してきた既に付き合っている鈴木と谷や、恋愛感情の基でアプローチをする山田と西さんの組み合わせとは少し違う。

 ただ、平も東も達観している。そして特に東の方は気を許している描写があり、それ故長年噛めるスルメの如く深い味わいがする組み合わせなのだ。雑に扱っているんだが、雑ではない。

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『正反対な君と僕』10話 より

東の恋愛遍歴

 東は中学校時代から恋愛方面で苦労してきた。

 付き合ったものの自然消滅したり、アプローチを同時並行でかけられたり。そんなこんなで恋愛に対して億劫というか、捻じれた思考を持つようになった。中高生にしては、壮絶な恋愛経験であり、それ故に普段の人間関係でも気を遣うようになっている。

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『正反対な君と僕』12話 より

平の恋愛遍歴

 一方で、平の方はというと中学生時代はスクールカーストの下位。カースト上位とのノリが合わないのは勿論、そこからの経験がトラウマと化している。

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『正反対な君と僕』12話 より

 そのため、敢えて離れた高校を選び、高校でデビューを果たした。しかし、性格や根本の考え方はそう簡単に変わらない。見た目だけ「陽キャ」となった平は、「思ってたんと違う」と振られる経験もあるようだ。

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『正反対な君と僕』15話 より

20話「許す女」を読んでくれ

 そんな平と東の良さが表れるのが20話である。

 平や東含め、イツメンでボーリングに皆で行くことになる。そんなボーリング会場には、平と東の同じ中学校の人たちが遊んでいる。

 高校デビューをした平としては、そいつらに見つかり、馬鹿にされることが怖い。しかし、ちらちらと視線は向けてくるものの声をかけてくる様子はない。むしろ距離をとっているようで…。

 その理由は東にあるようだ。

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『正反対な君と僕』20話 より

 東と仲が良かったものの恋愛方面であれこれあったため、気まずいようである。あれこれと言っても、東が悪いのではなく、男側が東を一方的に振ったり、東と同時に他の女子にアプローチしたりと言う感じではある。

 そんな風に雑に扱われつつも、達観した様子を見せる東に対して平が本心をぶつける。「雑に扱われているんだから怒れよ」。この言葉は東自身以上に、東に寄り添えているからこその言葉である。

 なんだかんだ許してしまう性格の東。だからと言って、良くないところも全てを許して、東が一人で飲み込む必要はないのだ。

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『正反対な君と僕』20話 より

 この言葉は東が他人から雑に扱われる以上に、自分自身が自分を雑に扱っていることを気づかせる。

 後日談として、平は東に主観的に物事を言ったことを謝る。平としては東に対して偉そうに言ったものの、所詮他人に対してだからこそ言えたことであり、自分がそこまで言うのは違うと感じたらしい。

 このようにどこまでも考えすぎてしまうのは平の良い所なのだ。

 そして東もそんな平を許す。しかし、今までの様に自分を雑に扱っての許しではない。平が教えてくれたように、自分に寄り添ってくれた平に対してだからこその「許す」なのだ。

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『正反対な君と僕』20話 より

24話「サイレント遠慮」を読んでくれ

 今までも絡みはあったものの、その良さが20話で限界突破(当社比)したタイラズマ。その良さは他にもちょこちょことある。

 例えば24話。修学旅行のグループ決めで人数制限の理由から、東は鈴木らとグループになることを遠慮しようとする。結果としては鈴木の強行突破でイツメンに落ち着くのだが、東の方は自分がしてしまった「遠慮」をモヤモヤとして抱える。

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『正反対な君と僕』24話 より

 そこでも平は東のモヤモヤに対して正直に答えるのだ。中学校時代はカースト関係が強く東自身も利用される人間関係だった。それが今は存在しない。平の発言から東は中学校時代との違いに気づき、「遠慮」のハードルを越えるのだ。

 

 と、まぁこのような感じでタイラヅマは神なのだ。

 皆さんも『正反対な君と僕』を買って読んでほしい。