葉のブログ

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【感想と考察】『僕の心のヤバイやつ』Karte.80「僕はおままごと」【漫画】

 2021年9月21日にマンガクロス | 秋田書店の新作漫画が無料で読める! (mangacross.jp)『僕の心のヤバイやつ』最新80話「僕はおままごと」が更新されたので感想と考察を書いていこうと思います。

 前回の感想記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 Amazon Kindleで桜井のりお先生が今までTwitterで公開してきたTwitter版の『僕の心のヤバイやつ』をまとめたものが無料で販売されているので、興味がある方はこちらもチェックです!

 

 

Karte.80「僕はおままごと」感想と考察

レッツ仕事見学

 朝の七時に姉に服のチェックをしてもらって家を出る市川。その目的は山田の仕事を見学させてもらえることです。差し入れにコンビニで犬の顔の小さいケーキを買い、現場に向かいます。

 そして、気が付くのです。

 早朝。つまり周囲のギャラリーは自分だけである、と。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.80

 

大人の世界と子どもの自分

 人がほとんど居ないということは、むしろ仕事の雰囲気が良く見えるということです。いくら服に気を付けて中二的ないつもの装いから少しオシャレしても、モデルを取り囲む人たちの大人の服には敵いません。山田に渡そうと思っていたコンビニで買ったケーキも、有名ブランドのマカロンの差し入れには敵いません。

 以前から薄々と感じていた山田と自分の間にある世界のズレ。それは学校内でのキャラなんかではなく、モデルという仕事をする大人の世界と、どこまでいっても学生から抜け出せない子どもの世界の違いです。そして、現場を見ることで市川はそれを目の当たりにします。

 だから、『おままごと』なのです。結局全部が小さい箱庭のような空間で演じられていただけ、全てが道化だったかのように思えてしまうのです。現場にいる人達に比べたら、自分自身はちっぽけで子ども遊びみたいなもの。だから、この想いも遊びのようなもの、と少しずつ自信を無くしていきます。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.80

 

山田のことを見てきたから

 そんな市川のところに山田が現れます。どうやら仕事をちょろっと抜け出してきたみたいです。山田は市川のことをよく見ている様で、市川が楽しくなさそうなのを察していました。だからこそ市川に言われた一言が嬉しかったと伝えます。

isoisogingin.hatenablog.com

 そう言いながら山田はバイブの鳴るスマホの電源を消してしまいます。しかし、山田が市川のことを見てきた様に市川も山田のことを見てきました。だから、山田が優しく、このまま市川と一緒に居てくれようとすること、そのためなら仕事に穴を開けてしまうこと、を理解してしまうのです。

 そうすれば、市川と山田は対等な中学生に戻るのかもしれない。でも、世界が違うからこそ、違う世界があるからこそ、そしてその世界で山田が一生懸命に頑張っている姿を見てきたからこそ、これほどまでに山田のことが好きなんだと市川は気づくのです。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.80

 

こいつ誰やねん

 さて、最新話で登場したこの男の人。最初はモデル仲間の中高生で山田のことを狙っているのでは…?と思いながら読んでいましたが、その立ち振る舞い、差し入れをしたり、PCを操作している人と話したりということを考えると山田のマネージャーさんではないかと予想します。

 分かりやすい悪い奴感が出ていましたが、桜井のりお先生のこの作品の中では「どんなキャラクターも愛おしいものにしたい」という願いが込められていることは以前から説明しています。それを踏まえると、悪者らしい悪者は出てこないと思うのです。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.80