『おとなりに銀河』1巻の感想を書かせていただきたいと思います。
作者は雨隠ギド先生。私としてはアニメ化もした『甘々と稲妻』でお馴染みです。
前作同様、ハートフルな物語とイラストを期待して読んでいきたいと思います!
『おとなりに銀河』1巻感想と考察
契約から始まる恋愛
本作のテーマを一言で表すとするならば、「契約」である。
「契約」という言葉で私が真っ先に思い浮かぶのは某魔法少女アニメのクソ小動物である。
「僕と契約して、魔法少女になってよ!」
可愛い見た目に騙されてはならない。キュウベえを許すな。
アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』 より
クソ小動物は置いておいて、『おとなりに銀河』の概要をザックリ説明する。
主人公である久我一郎は早くして両親を亡くす。弟妹の将来のために漫画家として日々締切とにらめっこする毎日である。そこにアシスタントとして現れるのが、本作のヒロインである五色しおりである。
一郎としおりは、ひょんなことから契約を結ぶことになる。
(経緯は是非漫画を読んでほしい)
この契約は魔法少女になる訳ではない。
しおりの台詞から引用するのであれば、「一蓮托生の契り」である。
どうやらしおりは流れ星の民の姫であるらしく、契約を結んだものと婚姻関係を結ぶことになるらしい。しかし、出会って数日の漫画家とアシスタント。当然恋愛感情などあるはずもなく一郎は困惑してしまう。
一郎としては、弟妹の将来もあり、結婚など言われても困る。
しおりとしては、契約は絶対。しかし、婚姻は恋愛の上に成立すると考える。
そのような訳で「契約」を結んでしまった一郎はしおりに恋愛を迫られる。
そんな話である。
『おとなりに銀河』1話 より
不平等な契約
なぜ好きでもないのに結婚しなくてはいけないか。
その理由は、結んでしまった契約の内容が大きく関わる。
しおりは、流れ星の民の姫。そう、"姫"である。
契約の内容もその”姫”を守るためのものになっている。
例えば、一定以上距離を離れると契約者の体調が悪くなる。”姫”が不快な感情を抱くと契約者の体調が悪くなる。
一方通行でに”姫”の状況が契約者に影響する契約である。
一郎はナンパから助けるつもりでしおりの手を引いたとしても、しおりが驚くだけで一郎はくしゃみや鼻血など体調に影響が出る。
『おとなりに銀河』3話 より
島では、姫として扱われる。その中で漫画の世界に憧れ上京した。
しかし、その「島を出る」という選択が結果として一郎に災いを招いていることをしおりは気に病む。
一郎はわずか数日ではあっても漫画家とアシスタントという立場で一緒に居た。
しおりの技術は生半可なものではなく、どれだけ練習したか想像もつかない。
だから、努力をして、夢に憧れて、その道を進むしおりの姿に対して、「誰かのためにやらなきゃよかったなんて」言わないでほしいのだ。
『おとなりに銀河』3話 より
純粋な一郎の言葉はしおりの心に届く。
しおりの夢の為にも、一郎も契約の内容を覚えて不都合が無いように協力することが決定した。
その感情の名前
一郎としおりの元に有名漫画家の塊肉先生(すごいネーミング笑)が来る。
どうやら一郎と幼いころから付き合いのあるようで、もか姉と親しまれる。
その関係性にモヤモヤとした感情を抱くしおり。その原因を言語化していくうちに、その感情が嫉妬であることに気づき、そして恋心を自覚する。
そして一郎の方も、日々過ごしていく中でしおりに惹かれていたことを自白する。
こうして、しおりが姫、一郎が契約者という不平等な契約の上に二人の恋愛関係が始まるのだ。
『おとなりに銀河』5話 より
主のイチオシシーン
雨隠ギド先生の描くキャラクターは本当に全員が優しいのだ。
そんなキャラクターが物語を紡ぎ始めた1巻のイチオシのシーンは、恋心を自覚したしおりが一人ニヤニヤするシーンである。
尊い。可愛い。それ以外の言葉が出てこない。
そして一人の女の子らしさも感じる。ここは重要なのだが、描かれるしおりは純粋な少女の様であるのに対して、背景には島の姫として周囲に扱われてきたというものがある。だからこそ、この1コマはより愛おしい。
『おとなりに銀河』5話 より
2巻の感想記事はこちらから。