葉のブログ

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【感想と考察】『僕の心のヤバイやつ』Karte.89「僕は溢れ出る」【漫画】

 2022年1月11日にマンガクロス | 秋田書店の新作漫画が無料で読める! (mangacross.jp)『僕の心のヤバイやつ』最新89話「僕は溢れ出る」が更新されたので感想と考察を書いていこうと思います。

 前回の感想記事はこちらから。

isoisogingin.hatenablog.com

 

 遂に「山田は俺のだ」宣言をした市川。

 その続きはニチャニチャ間違いなしでしょう。

 

Karte.89「僕は溢れ出る」感想と考察

溢れ出た言葉の行方

 「山田は俺のもの」宣言をした市川。

 その言葉を背後からいたずらをしようとしていた当の本人、山田に聞かれていた訳だ。読者も2週間ヤキモキしながら待っていたこの後の展開。

 

 結局、市川はあれやこれやと誤魔化してしまう。

 それには山田も不服そうな表情をする。

 察しの悪い神崎くんには原さんが市川と山田の関係を教えることとなった。

 

 そこで、市川は劣等感を覚えるのだ。

 この物語が始まった当初から市川のこの性格は一貫していて、人と比べれることは市川の個性でもある。ただ、それが今回は悪い方向へと膨らんでいく。

 

 神崎くんと自分自身を比較するのだ。

 「好き」と言える神崎くんと「好き」を誤魔化す市川。

 男らしい神崎くんと男らしくない市川。

 

 思春期らしい考え方だと私は思う。(あくまで私個人の主観だ)

 

 これらの比較軸で男らしい神崎くんが良くて、男らしくない市川自身は悪いと自身を嘲笑する。別に「男らしい」方が良いと決まっている訳ではないのだが、人間は自身の持つモノサシでしか物事を測れない。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.89 より

 

 以前からの記事でも指摘している市川の「他人と比べて」。

 それは発言にも表れている。

 市川が素直になれないのも、言葉が出てこないのもそれが影響している。

 

 市川の「好き」は「相応しさ」が必要なのだ。

 告白して気持ち悪くない自分。

 渡して気持ち悪くないプレゼント。

 山田の隣に立って不思議ではない自分。

 

 しかし、それは市川の主観での話。

 神崎が言うように、周囲からはそんなことはないのかもしれない。

 (以前マネージャーさんにも付き合っているように見られたのと同じである。)

 

神崎くんの悩み

 恥ずかしくなってきた市川は話を神崎の方へと変える。

 市川にしてみたら「男らしい」「良い」男である神崎くんだが、彼にも悩みがあるようだ。

 告白しても伝わらないようなのだ。

 しかし、なぁなぁの関係でもいいか、と言う。市川には分からない考えである。

 

バレンタイン回とホワイトデー回

 「山田がはぐれた」という原さんと山田のバレバレの計画によって、神崎と原さん、市川と山田とそれぞれが2人組に分かれる。

 山田が言う言葉は原さんたちのことを表している様で、山田自身の心の中を表してもいるのだろう。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.89 より

 

 公園で、いつも通り、二人で話す。

 この場面はバレンタイン回と同じなのだ。

 その時は市川が山田のことを挙動不審だと疑ったのだ。

 だから、それが逆転しているのだ。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.74 より

 

 バレンタイン回では、市川視点で挙動不審で勇気の出ない山田が描かれていた。 

 今回は市川の主観で挙動不審で勇気が出ない様子が描かれている訳だ。

 

 だからこそ、あの時の山田のことも分かるのだ。

 どれくらい考えたか。

 どれくらい勇気を出したか。

 どれくらい自分を想ってくれたか。

 

 その気持ちが分かるから、市川は逃げるのを辞める。

 保身なんて考えず、山田の事だけを考えて正面から向き合う。

 

 市川が用意したプレゼントは手作りマフィンである。

 食べることが好きな山田のことを考えたプレゼントだ。

 

 そしてマフィンの中には市川の選んだブレスレットが入っている。

 (ジップロックに入っているあたり安全だね)

 これは恐らく市川自身が山田にあげたいものなのだろう。

 

 客観的に見たら気持ち悪いのかもしれない。

 だから市川は散々悩んだのだろう。

 原さんに「手作りのこと」「アクセサリー」のことを聞いたのも悩み故だ。市川が用意したものを知らない原さんは市川の考えを肯定するのだ。そして、その市川への肯定は市川の用意したプレゼントへの否定でもあった。

 

 だからそれらの周囲の目を無視して、自身の想いを込めたプレゼントを渡すのだ。

 市川としては家で食べるときに気づくだろう、というもの。

 しかし、山田は嬉しさからその場で食べるのだ。

 

 バレンタイン回でどんなに山田が挙動不審でも、チョコを貰って市川は嬉しかったわけだ。

 当然、山田も市川からのプレゼントは嬉しいのだ。

 好きな人が自分を想って考えたプレゼントが嬉しくないはずがないのだ。

 

 クリスマス回では市川に「可愛い」を言ってもらおうと山田が奮闘する場面があった。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.47 より

 

 自分が渡したプレゼントをその場で身に着け、感想を訊く山田に市川は本心から言うのだ。

 可愛い。


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『僕の心のヤバイやつ』Karte.89 より

 

 「好き」は言えなくとも「可愛い」は言えた。

 山田が涙を流すように、二人の関係はわずかだが前進を見せる。

 かつてここで流した涙は市川にチョコを渡す緊張や不安、上手く出来ない自己嫌悪が混じっていた。

 でも、今回の涙は市川の言葉に対する安心感と嬉しさであろう。

 そう言えば山田が「好きな人がいる」発言をしたものの市川の方から言葉にしている訳ではない。

 そして市川は神崎くんのように常に想いを言葉にするタイプでもない。

 だからこそ、その言葉には重みがあり、待ち望まれたものでもあった。

 確かな一歩だ。

 

 春休みには山田が撮影で長期間会えなかったり、2年生になったら人間関係にも動きがあったりとさらなる展開への期待がある。その第一歩が今話なのだろう。

 

 ちなみにアクセサリーを渡すのは独占欲が表れている気がして激しく解釈一致。

 

ブレスレットをつける山田

 さて『僕ヤバ』と言えば、のりお先生がTwitterで更新するイラストが作品の未来とリンクしているのはお馴染みである。(一部界隈で)

 そんな先生が去年、山田と市川、その他女子で海に行くイラストを載せている。

 

 全部のイラストにブレスレットが!!!

 ということは来年は海に行くのかもしれない。