葉のブログ

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【感想と考察】『【推しの子】』156話「MEMe」【漫画】

 2024年7月25日発売「ヤングジャンプNo.34」で『【推しの子】』本編の最新156話「MEMe」が掲載・更新されています。

 本当にカミキは改心したのか。

 黒幕は二ノになるのか。

 いくらか疑問が残る前回感想記事はこちら。

isoisogingin.hatenablog.com

 また、150話を受けて重曹とアクアの関係性の変遷の整理や今後の展開の考察を少しだけした記事を作成しています。こちらも気になる方は是非。

isoisogingin.hatenablog.com

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 私は重曹推しです。

 記事の内容やそれに含まれる感想もだいぶ重曹寄りになることはご容赦ください。

 それについて、随分と前ですが、『【推しの子】』の今後の展開について割と本気で考察した記事を書いていますので、今後の展開まで予想したい方は以下の記事をチェックしてください。この記事で書いてある考察などを前提にこの記事のように各週の感想記事も作成しています。

 ※約3年ほど前の記事になります。

isoisogingin.hatenablog.com

isoisogingin.hatenablog.com

isoisogingin.hatenablog.com

isoisogingin.hatenablog.com

 なので、以下に含まれる感想の内容にも『【推しの子】』の恋愛要素(特にアクかな)に焦点を当てた内容が多くなります。上記内容が苦手な人、宗派が合わない人はブラウザバックしていただければ幸いです。

 最新15巻が2024年7月に発売しています。

 表紙はあかねと重曹。

156話「MEMe」感想と考察

MEMの逆転ストーリー

 前回の復讐パートから打って変わって、なんとビックリ。急にMEM回が挟まるのである。内容としては本筋から少し横道に逸れた、キャラの深掘り回である。

 サブタイトルは「MEMe」。登場人物である「MEM」とネットスラングである「meme(ミーム)」のダブルミーニングであると考えられる。ミームはネットに広く拡散されることを意味し、バズることと同義である。そのため、これもMEMのことを示していると考えられる。

 そしてMEMの年齢をサバ読んでいるという、我々読者の中では当たり前となりつつあった伏線が回収される展開でもあった。公称20歳、実年齢27歳という文字面を改めて見ると、大分盛ったな!と叫びたくはなる。

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Ⓒ 集英社 2024

赤坂アカ/横槍メンゴ『【推しの子】』156話 より

 芸能界では誰もが「嘘」を抱えている。そして嘘は後ろめたいものであり、それ故に芸能界では多くの人が疑心暗鬼の状態になる。そしてグループ活動を行っているMEMにとっては周囲への迷惑をかけてしまう種でもある。

MEMにとっての「嘘」

 本作で「嘘」は一つのテーマである。芸能界では多くの人が嘘を吐いている。お互いに虚構の姿を見せあっている訳であり、それ故に疑心暗鬼になり、関係性は捻じれていく。正しく芸能界の「歪み」の一端である。

 だからMEMが選んだ選択肢は「逆に年齢詐称を公開する」ということだ。MEM曰く「攻めは最大の守り」。こうして、年齢不詳のMEMが大学受験をすることで大学生を目指す企画が生まれる。

 これは、「アイドルになりたい」という夢を追い続けるために仕方なく、悪意無く吐いてきた嘘の公開であると共に、夢を追うために見てこなかった別の人生の可能性を追いたいというMEMの新たな願いが含まれていることも考えられる。

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Ⓒ 集英社 2024

赤坂アカ/横槍メンゴ『【推しの子】』156話 より

 何はともあれ、MEMは年齢詐称を公開し、ファンの間ではその「嘘」が許された。しかし、実年齢を公開した訳ではないのでMEMは年齢詐称系から年齢不詳系に転身しただけである。

 芸能界の「歪み」の一端は嘘。そしてそれを歪みの原因とするのは、多くの人に「清廉潔白な姿」を求められるが故である。その望まれる姿を演じようとして、どこかで実際の姿と乖離が起き、嘘を吐かざるを得ない。だから、MEMのとった手法は、適度に嘘を吐きつつ「真の自分」を可能な範囲で公開するという、芸能界を生きながらえる上での必勝法なのだ。

 このようにして、MEMは自ら力で「嘘」をネタにしてバズらせる。つまりはサブタイトル通り「meme(ミーム)」の状態である。正しくMEMらしい深掘り回だったと私は感じる。

重曹へのパパラッチの可能性

 今回の件で、MEMは週刊誌の記者に追われていることが発覚し、ルビーの発言からルビーも狙われていることが判明する。そして重曹は実際に一度週刊誌に偏見記事を公開されそうになった過去がある。そこから分かるのは「B小町に週刊誌が張り付いていること」だ。それだけB小町の知名度・価値が向上している証でもある。

 となれば、気になるのは重曹にも週刊誌記者が未だ張り付ているのではないかという可能性だ。過去に記者に誤った記事を公開されそうになった時は、アクアがそれを逆に利用することで「アイの子ども」であることを世に知らしめた。

 つまり、重曹が週刊誌にとって狙う価値のある「ネタ」であるという事実は覆された訳ではない。変わらず面白い写真が撮れれば、それを基に記事を妄想で作り上げるに違いない。

 当然、過去の事例を踏まえて苺プロも対策をしているだろう。ルビーに対してミヤコさんが同行し、ガードしているというのがその証拠であろう。

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Ⓒ 集英社 2024

赤坂アカ/横槍メンゴ『【推しの子】』156話 より

 しかし、ミヤコさんは分身できる訳ではない。そして週刊誌の存在は、アクかなを供給に対しては邪魔でしかない。以前のキャッチボールだって、人が居ないところをアクアと重曹が選んだとは言え、尾行・不法侵入までするような記者にとっては美味しいネタでしかない。

 私はもっとアクかなが見たい。その欲望の障壁になりそうな影を感じた。そのことをこの章では記しておきたかったのだ。

今週の重曹ちゃん

 ルビーの発言であったように、苺プロの面々はMEMの芸能界で戦う姿勢にリスペクトを抱いている。そして、「天才子役」というレッテルでデビューし、苦労を重ねた重曹がMEMに対してリスペクトを抱かない訳がない。

 なぜなら、重曹自身も芸能界での便利な役割を求められ、その姿を演じ続けてきた。つまりは嘘を吐き続けた人間であり、現在はそこから「自分のこうありたいという姿」をアピールすることで活躍の場を広げようとしている。

 MEM同様に重曹も適度に嘘を吐き、それでもなお本当の自分を出すことによって芸能界で生き永らえてきた人間に違いないのだ。

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Ⓒ 集英社 2024

赤坂アカ/横槍メンゴ『【推しの子】』156話 より

次回更新は

 次号は休載。

 次回更新は2024年8月8日(木)の予定である。