2021年3月8日、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』が公開された。恐らく多数の訓練されたヲタクが待ち望んでいた日であろう。かく言う私もその一人であり、劇場版をリアルタイムで追い始めたのは「Q」からであるものの、「ヱヴァンゲリヲン」は私にとっての青春であったことには間違いない。そんなこんなで何年も待たされ、待たされようやく「GO」の合図が出た今日この日、例に漏れず私も『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を観に行った。未だ観てない人にとってネタバレ厳禁であることは百も承知であるが、映画を観て生まれた感情をどこかにぶつけたいし、感想が語られないというのも寂しいので感想を書いていこうと思う。
*劇場版をまだ観に行っていない方はここで戻ることを推奨する。
一言で言うと「分かりやすかった」
正直、私は映画を観るということに対してこれほど「緊張」をしたことは無かった。それは、勿論「ヱヴァンゲリヲン」という物語が完結してしまうことへの感情でもあり、本当に終わるのだろうかという疑いでもあり、映画の何割を理解できるだろうかという自身の知識の無さを憂うものでもあった。
そして、観てみたらビックリ仰天。物語の構成として、とても分かりやすかったのである。所々に確実にミサトさんらが説明口調になっている箇所があり、「庵野の精神が乗り移っているな」などと考えてはいたが、それを踏まえても作品全体が分かりやすいのである。どう分かりやすいかは作品を実際に見てもらえば分かるだろうが、シンジやその他のキャラクターの変化や成長、それに合わせた起承転結。「Q」を知る者からしたら本当にエヴァか疑っただろう。そのように、いい意味で期待を裏切られたと言える。
絵も音楽も良すぎる
絵に関しては劇場版で観ないのは勿体ないくらいに「綺麗」という一言に尽きるだろう。youtubeにも以前から予告版が貼ってあるので載せておくが、このクオリティの作画がずっと続くし、しっかり動く。また、以前までの作品同様、様々な技法を用いて作品を表現している印象を強く受けた。
また、音楽が良すぎる。BGM集が出たら絶対に買いたいのだが、マジで戦闘中のBGMも、エンディングの曲も、とにかく劇場に行って聞いてほしいのだ。神曲しかねぇ。テーマソングである宇多田ヒカルさんの『One Last Kiss』の公式MVも公開されたので、以下に貼っておく。もう泣ける。
劇場で泣いた話
『ヱヴァンゲリヲン』のファンにはヒロインの派閥もあると思う。綾波派、アスカ派、マリ派、ミサトさん派など、登場するキャラそれぞれに魅力があり、コアなファンがいると思うが、私は圧倒的にアスカファンなのである。誰に何を言われようともアスカ派なのである。
劇場特典で貰えたアスカのカラーイラストでまず泣いたし、アスカが動いていることで泣き、アスカが大人になったことで泣いたし、アスカの戦闘シーンでの決意に泣いたし、結末で泣いた。「大人になった」というのも、そもそもこの『ヱヴァンゲリヲン』のシリーズは「碇シンジが子供から大人へ成長する物語」であると考えられ、そういう意味で登場するキャラクターが何かしらの成長をするのは当たり前のことだと思うのだが、恐らく劇場に足を運んだアスカ派の方々は観ている途中で何かしらの結末を予測したかもしれないし、私と同様に涙を流したかもしれない。私は、「Q」でアスカがシンジのことを殴ろうとしたのは、心配したからであり、アスカはシンジのことが好きなのだと考えたいたが、そう思っていた私は正しく小人なのだろう。アスカもシンジも「大人」へと成長し、自身の心を認めた上で、それを受け入れ、判断した。その事実に私は寂しくもなった。
映画を観て、その後に改めて映画ポスターを観て、また泣いた。そして衝撃だった。このポスターが全てだったのかもしれない。「流石、庵野。やってくれるぜ」という感じである。シンジの隣りに居るのマリじゃねぇか。
公式サイト( http://www.evangelion.co.jp )より
現実と虚構
この作品のテーマとして「シンジの成長」とは別の軸のメッセージとして度々出てくるのは「現実と虚構」である。キャラクターの台詞としても度々登場するし、表現技法として手で描かれた絵だけでなく、CGであったり、絵コンテであったりが使われている。これらを駆使して表現することは庵野監督の目指したところの一つであろうし、結局のところは「エヴァ」は現実ではなく虚構であるべきなのだろう。神に願い、理を外れるのではなく、人の力で進んでいく。この選択は今までのエンディングとは違うし、今までのどの結末よりも「人間としての強さ」が表れている。
この作品に出会った頃は、まだ視野が狭く、それこそエヴァのような夢物語を思い描いたりもしていた。しかし、私同様に多くの人はこの作品を待っている間に長い時間を経て、そしてこの結末を劇場で迎えることで虚構と決別するのかもしれない。
だから、この『シン・エヴァンゲリオン:||』の「終劇」はシンジたちとエヴァの終わりを意味し、虚構の終わりを意味し、私たちとエヴァンゲリオンの物語の終わりを意味し、そして庵野監督のゴールテープを意味するのだろう。この作品から物語の展開以上のことを汲むのは、それこそ虚構に値するのかもしれないが、やはりこのメッセージを感じ取らないのは違うと思うので書いておく。
とにかく観に行け
そんなこんなで要領の得ない誰でも書けそうな感想を書いてきた。本当はあれもこれも書きたいのだがネットの海に流す以上、ネタバレを可能な限り含むべきではないと考え、このような感じになった。また後日、もう少し詳しめの感想を上げるかもしれない。
とにかく、めちゃくちゃ良い作品であることは間違いないので、是非とも観に行ってほしい。
俺はあと2回は絶対に劇場に足を運ぶ。そう誓った。ただもう何も知らないで観れないことが悔しいとも思う。初めて見るからこその感想、何回も見たからこその感想があると思うのでネタバレ厳禁は承知の上で書かせていただいた。