皆さんお久しぶりです。
2021年2月18日発売の『ヤングジャンプNo.12』で『【推しの子】』の最新34話が更新されたので感想と考察を書いていきたいと思います。
少し訳あって、違う方のブログで感想記事を更新していたので、前回の『【推しの子】』の感想記事はこちらのリンクから読むことが出来ます。
【感想と考察】『【推しの子】』33話「モチベーション」:アイの恋物語の始まり - 部屋の隅の埃 (heyanosuminohokori-blog.com)
はてなバージョンだと31話まで書いていました。
また今週末に『【推しの子】』最新3巻が発売予定ですので要チェックです!
それではこちらから今週の感想記事になります。
34話「センター」感想と考察
等価交換
『【推しの子】』34話より
世の中には「等価交換」という概念が存在する。某有名錬金術漫画でもテーマとなっているこの言葉だが、実際のところこの世の真理の一つであろう。
アイが「劇団ララライ」に所属していたという事実だけでなく、団長を紹介したり、「B小町」にフェスを紹介したりと、詐欺を疑いたくなるような良い話ばかりを持ちかけてくる プロデューサーへの疑問に対する答えは「貸し借り業界」という「等価交換」を基にした理論であった。
つまるところ、芸能業界にはコネが横行しているが、それらは全て未来への投資であると言う。有馬かな、MEMちょ、そしてアクアと様々な可能性の片鱗を見せる若者への投資であり、また「B小町」という「あの」がつく団体への可能性でもあるかもしれない。そして社会においては貸し借りやコネといった未来への投資がそのまま信頼となって成立しているのも事実なのだと思う。
センター問題
『【推しの子】』34話より
そんなこんなでアクアを通して「ジャパンアイドルフェス」という大きなステージを完全なコネで手に入れた「B小町」には避けては通れない問題が存在した。それが「センター問題」である。
所謂受験生が受ける共通一次試験のことではなく、アイドルのセンター、つまりはアイドルの花形である。アイドルはセンターがそのままグループの色となると言っても過言では無いほどに重要なポジションであり、誰もが憧れる場所であろう。
そんなセンターの座をかけた戦いにルビーもMEMも乗り気である中、どうにも重曹ちゃんだけは乗り気ではない様子である。しかし、アイドルのセンターとは、そのアイドルグループの指針であり、イメージであり、方向性である。最終的にはセンターの資格を「歌」と決定したうえでカラオケへ行くことになったのである。
自信満々で歌ったルビーとMEMは50点近辺とどんぐりの背比べを見せる中、別室で歌っていた重曹ちゃんはその倍近くの点数を叩き出し、二人も重曹ちゃんのMVを視聴したことで、センター問題は収まるところへ収まったのである。
面倒くさい女
そんな重曹ちゃんであるが、子役から売れなくなったという経験が確実に今のネガティブな思考に結びついていることは言うまでもない。今回のセンター問題にも「私なんかが……」という思考を持ち出している。しかし、一方で、誰にも負けたくないと努力を重ねてきたことは明らかである。演技力があるのは当然であるし、歌が下手と言われれば練習もする。重曹ちゃんの人生は失敗経験からの努力の繰り返しなのである。
しかし、アクアが「今ガチ」であかjねに表面上であっても告白をしたことで、またしても失敗体験を積んでしまったのである。『かぐや様』で言う石上のように、失敗体験ばかりを積んでいる人は自分に自信が持てない。「面倒で捻くれた女」である重曹ちゃんは、自身が人から好かれないことを自覚しながらも、ああ言えばこう言うを繰り返すのである。
『【推しの子】』34話より
でも、だからこそ重曹ちゃんには成功体験が来るという約束がされているようなものだと考えられるだろう。今回のアイドルフェスかもしれないし、アイドルフェスは失敗に終わってその次のステージかもしれない(アカ先生なら失敗させるくらいやるという謎の信頼感)。しかし、重曹ちゃんが成功経験を積み、卑屈を抜け出した時こそ、今度こそアクアと正面から言葉をぶつけ合うときがくるのかもしれない。
冷静に考えて、アクアは初々しく素直な女性よりも面倒くさい捻くれた女性の方が好みなのは節々に見える。ただ、そうなるとお互いが捻くれているだけにその恋愛の道も遠回りなのだろう。
改めて最後に、重曹ちゃんがアクアのことを「あーくん」と呼ぶ未来は確定しているのである(重曹ちゃん過激派からの遺言)。
今週の重曹ちゃん
過去の失敗経験が積み重なりすぎて、むしろポジティブになる重曹ちゃん、面倒くさい捻くれた重曹ちゃん、自分に厳しすぎるがその分だけ努力している重曹ちゃん。いろいろな顔が見れて嬉しいんだ。
『【推しの子】』34話より